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セイドレイ【完結】
第37章 零落
新堂が事の成り行きを説明し終えた。

「…そういう訳でね。実際にはこれからまだまだ、手続き上の問題でクリアしなければならないことはあるが…もう病院も、そしてこの家も、他人の手に渡ることが決まっているんだよ。そういうことでよかったかなぁ?雅彦」

「………あぁ」

雅彦は憔悴仕切った様子で、そうポツリと呟いた。

しかし、健一は納得ができない。

「ちょっ、ちょっと待ってくれ…新堂のおっさんも…それから親父も!確かに…俺が頼りないから…俺がもっと長男としてしっかりしてれば良かった話なんだろ??後一年、待ってくれよ…研修を終えたら俺がこの病院を継ぐ。頑張って借金も返して行くからっ…だからあと一年……」

健一はそう言って食い下がるが、新堂はそれを鼻で笑うようにこう言った。

「ふっ…いやいや健一、お前が頼りないことなんて皆知ってるぞぉ笑わせないでくれ。そもそもこれはね、お前が頑張るとか、そういう問題じゃあ無いんだよ。私を裏切った雅彦がその責任を取るにはこうするしか無かったということだ。これでもかなり恩情をかけてやったつもりなんだがなぁ。これだから世間知らずの坊ちゃんは困るねぇ。自分達のしてきたこと、そして今置かれている状況を考えれば簡単に分かることだろう?」


「…新堂、もういい。息子がすまなかった。健一、お前ももうよせ。これは全てワシの責任だ。気にすることは無い。お前はしっかり腕を磨いて、自分のことだけ考えろ。今まで何もしてやれなくてすまなかった。なぁに、心配せんでもワシはまだまだ働くさ。新堂のおかげで病院も新しくなる。それに今すぐ何もかもが変わるわけじゃない。お前はもう、この家に縛られなくていいんだ…」

「親父……」

「…あと、慎二もな。お前にこそワシは何もしてやれんかった。ゆっくりでいいから、自分の生きる道を探せ」

こんなことを言う父親を、健一も慎二も、今まで一度たりとも見たことが無かった。
それは、これまで仕事のみに生きてきた雅彦がほんの一瞬だけ見せた、父親としての顔だった。


しかし。


「…おやおや、何か勝手に話をまとめているようだが。私の話はまだ終わっていないよ?ふふ。とりあえず私はまだ、雅彦と話をつけただけだ。健一、慎二。お前達も今のままって訳にはいかんことくらい分かるだろう?」

「…新堂?それはどういう意味だ…?」
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