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セイドレイ【完結】
第38章 最後の晩餐

新堂曰く、本山に関しては従来通り、監視と雑用をやらせるという。
これまでは武田家の3人が行っていたモニター室での監視と、事後の掃除を本山が引き継ぐということだった。
一方、田中に関しては亜美の世話という役目を解かれ、これからは学園の用務員として働くことになるという。
「…でも、学園には…水野くんが居ますよね?彼は田中さんと面識があるから、顔を合わせたらまずいのでは…?」
「あぁ、よく気がついたねぇ。でももう大丈夫なんだよ。水野貴之は既に我が学園を…退学しているから」
「えっ…?!」
「勘違いしないでくれよ?今回に関しては私が何か手を回したわけでは無い。水野貴之は春休み中に自主退学した。私も少々驚いたがねぇ。何か心境の変化でもあったんじゃないか?」
「そ、そんなっ…水野くん…どうして……」
亜美が囚われの身となっている間に、貴之は学園を退学していた。
だとすれば原因は何なのか。
(私の…せい?)
亜美は、自分が貴之を傷つけてしまったからではないかと考えた。
あんなことまでして貴之に嫌われたのは、貴之を守るためだったはずだ。
しかし、結果的には退学せざるを得ないほどの傷を負わせてしまったのではないかーー。
(やっぱり…私じゃ…誰のことも守れないの…?)
亜美はまた、無意識に自分の腹に手を当てていた。
「…まぁ、細かいことは気にしなくていい。もう過去のことだ。明後日には地下室へ戻る。あいつらの驚く顔が楽しみだな、ははっ」
そして、田中と過ごす最後の夜。
この日、次の日の事もあるからなのかは知らないが、予約が入っていなかった。
田中はいつも通り夕食を用意すると、亜美にそれを食べさせる。
「きょ、今日はねっ…亜美ちゃんの好きなものばかりにしたから…」
メインは亜美の好きな卵を使って、カフェで出てくるようなトロトロのオムライスだった。
田中はそれに精液をかけることなどはせず、ただ丁寧にひと口ずつ亜美の口へ運ぶ。
「…田中さん」
「なっ…何?どうしたの?」
「…おいしい」
「……え?」
「…とってもおいしいです。今日だけじゃなくて、今まで毎日…全部おいしかったです」
「あ、亜美ちゃん…………うっ…うぅっ…うっく……」
「…田中さん?」
田中が次のひと口のスプーンを持ったまま、うつむいて肩を震わせている。
(泣いてる…の?)
これまでは武田家の3人が行っていたモニター室での監視と、事後の掃除を本山が引き継ぐということだった。
一方、田中に関しては亜美の世話という役目を解かれ、これからは学園の用務員として働くことになるという。
「…でも、学園には…水野くんが居ますよね?彼は田中さんと面識があるから、顔を合わせたらまずいのでは…?」
「あぁ、よく気がついたねぇ。でももう大丈夫なんだよ。水野貴之は既に我が学園を…退学しているから」
「えっ…?!」
「勘違いしないでくれよ?今回に関しては私が何か手を回したわけでは無い。水野貴之は春休み中に自主退学した。私も少々驚いたがねぇ。何か心境の変化でもあったんじゃないか?」
「そ、そんなっ…水野くん…どうして……」
亜美が囚われの身となっている間に、貴之は学園を退学していた。
だとすれば原因は何なのか。
(私の…せい?)
亜美は、自分が貴之を傷つけてしまったからではないかと考えた。
あんなことまでして貴之に嫌われたのは、貴之を守るためだったはずだ。
しかし、結果的には退学せざるを得ないほどの傷を負わせてしまったのではないかーー。
(やっぱり…私じゃ…誰のことも守れないの…?)
亜美はまた、無意識に自分の腹に手を当てていた。
「…まぁ、細かいことは気にしなくていい。もう過去のことだ。明後日には地下室へ戻る。あいつらの驚く顔が楽しみだな、ははっ」
そして、田中と過ごす最後の夜。
この日、次の日の事もあるからなのかは知らないが、予約が入っていなかった。
田中はいつも通り夕食を用意すると、亜美にそれを食べさせる。
「きょ、今日はねっ…亜美ちゃんの好きなものばかりにしたから…」
メインは亜美の好きな卵を使って、カフェで出てくるようなトロトロのオムライスだった。
田中はそれに精液をかけることなどはせず、ただ丁寧にひと口ずつ亜美の口へ運ぶ。
「…田中さん」
「なっ…何?どうしたの?」
「…おいしい」
「……え?」
「…とってもおいしいです。今日だけじゃなくて、今まで毎日…全部おいしかったです」
「あ、亜美ちゃん…………うっ…うぅっ…うっく……」
「…田中さん?」
田中が次のひと口のスプーンを持ったまま、うつむいて肩を震わせている。
(泣いてる…の?)

