この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
セイドレイ【完結】
第39章 分水嶺

その頃、武田クリニックの診察室では、雅彦が夜の診療を行っていた。
「…今のところ順調です。ではまた2週間後に来てください」
「ありがとうございます。…あ、そういえば先生、今日ニュース見ましたよ」
「あ、ああ…そうですか。いやいや、お恥ずかしい」
夜の診療に訪れたほぼ全ての患者が、テレビで武田クリニックが特集されたことを知っていた。
放送後、まだ数時間であるというのに、すでに医事課には予約や問い合わせの電話が殺到しているらしく、あらためてテレビの影響力を実感する。
今回のテレビ取材を受けることになった経緯も、もちろん新堂が仕組んだものだ。
会員の中に居る広告代理店勤務の男の伝手を利用し、番組で特集を組んでもらったのだ。
その目的は、リニューアルする武田クリニックに、より多くの集客を図るための宣伝だった。
現在、武田クリニックは改装工事の為の足場が組まれ、着々と作業が進んでいるが、その概要や進捗についての詳細を雅彦は知らされておらず、あくまで新堂と、この病院の新しいオーナーとなった男によって進められいる。
雅彦はただ、彼らの言う通りにあやつり人形となっているだけだった。
地下室のビジネスに関しても、会員は増え続けているようだ。
現在、新規会員の受付は、これまた会員の中に居る不動産業を営む男の会社を隠れ蓑にして行われていた。
不動産業であれば一度に動く金額が大きい為、会員達から支払われる高額な年会費等の金の流れを誤魔化しやすい、という算段によるものだ。
当初、新堂と雅彦によって細々と始まったこのビジネスは、今や想像を遥かに超えた規模にまで成長していた。
関わる人間が増えるということは、当然そのリスクも高まる。
万が一、会員のリストが流出するような事になれば、その影響は計り知れないだろう。
一体何人の会員が、そしてどれだけの金が動いているのか、雅彦にはもう想像すらつかなかった。
彼に与えられた使命は、医師としてこれまで以上に馬車馬の如く働く、ただそれだけだ。
健一の縁談の話も決まり、慎二は家を出て田中のアパートで暮らしている。
そして亜美は、その腹の中で日々大きくなる子を抱えながら、より一層過酷な性奴隷としての毎日を送っていた。
「…今のところ順調です。ではまた2週間後に来てください」
「ありがとうございます。…あ、そういえば先生、今日ニュース見ましたよ」
「あ、ああ…そうですか。いやいや、お恥ずかしい」
夜の診療に訪れたほぼ全ての患者が、テレビで武田クリニックが特集されたことを知っていた。
放送後、まだ数時間であるというのに、すでに医事課には予約や問い合わせの電話が殺到しているらしく、あらためてテレビの影響力を実感する。
今回のテレビ取材を受けることになった経緯も、もちろん新堂が仕組んだものだ。
会員の中に居る広告代理店勤務の男の伝手を利用し、番組で特集を組んでもらったのだ。
その目的は、リニューアルする武田クリニックに、より多くの集客を図るための宣伝だった。
現在、武田クリニックは改装工事の為の足場が組まれ、着々と作業が進んでいるが、その概要や進捗についての詳細を雅彦は知らされておらず、あくまで新堂と、この病院の新しいオーナーとなった男によって進められいる。
雅彦はただ、彼らの言う通りにあやつり人形となっているだけだった。
地下室のビジネスに関しても、会員は増え続けているようだ。
現在、新規会員の受付は、これまた会員の中に居る不動産業を営む男の会社を隠れ蓑にして行われていた。
不動産業であれば一度に動く金額が大きい為、会員達から支払われる高額な年会費等の金の流れを誤魔化しやすい、という算段によるものだ。
当初、新堂と雅彦によって細々と始まったこのビジネスは、今や想像を遥かに超えた規模にまで成長していた。
関わる人間が増えるということは、当然そのリスクも高まる。
万が一、会員のリストが流出するような事になれば、その影響は計り知れないだろう。
一体何人の会員が、そしてどれだけの金が動いているのか、雅彦にはもう想像すらつかなかった。
彼に与えられた使命は、医師としてこれまで以上に馬車馬の如く働く、ただそれだけだ。
健一の縁談の話も決まり、慎二は家を出て田中のアパートで暮らしている。
そして亜美は、その腹の中で日々大きくなる子を抱えながら、より一層過酷な性奴隷としての毎日を送っていた。

