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セイドレイ【完結】
第7章 絶望的観測
♢♢♢
あの葬儀から数日が経過したとある日の夜。
雅彦から「大事な話がある」と言われた健一は、実家に戻って来ていた。
「なんだよ親父、大事な話って…。それに慎二までいるじゃねぇか」
親子3人で顔を合わせることなど何年ぶりだろうか。
いつもは部屋にこもっている慎二も、珍しくリビングのソファに腰掛けている。
「…まぁ座れ、健一。それから慎二も。今日は2人に報告があってな。実は先日、お前たちは知らない親族の葬儀に呼ばれたんだが…。そこでいろいろあって、とある娘をうちで引き取ることになってな」
父からの突然の告白に、健一と慎二は目を丸くして驚く。
「ひ、引き取る?娘??そもそも、俺たちの知らない親族って?いきなりそんなこと言われても…親父、もっとちゃんと説明してくれよ」
健一が困惑した様子でそうたずねると、雅彦はコクリと無言で頷き、こう続けた。
「…そう焦るな。すべて話すから安心しろ。それと先に断っておくが、今から話すことはワシら家族3人だけの秘密だ。絶対に他人に漏らすなよ。いいな…──?」
雅彦は息子2人に、亜美という少女の存在と、その少女を引き取ることになった経緯についてを話し始めた。
そして、胸に秘めていたその "目的" についても──。
雅彦の話はしばらく続いた。
話が進むにつれ、健一と慎二の表情がみるみるうちに変化していく。
それは、なにかとんでもないことを聞いてしまったような──、そんな顔だった。
健一も慎二も、亜美をこの家に引き取ることについては特に異論はないようだ。
問題は、それ以外の部分。
「…大丈夫だ。責任はワシがすべて取る。お前らも自分の好きなようにしていい。別に関わりたくないならそれでも構わん。ただ、ワシがこれからしようとしていることを理解しておいてくれ、ということだけだ────」
雅彦が息子2人に打ち明けた、その "目的" とは一体なんなのか。
「──…ワシからの話は以上だ。予定通りに行けば、じきにその娘がうちへやってくる。お前たちはそれまでに、今日話したことをもう一度考えておいてくれ。…と言っても、あまり深く考える必要はない。ワシの話を聞いて少しでも "興奮" したのなら、それがお前たちの "答え" のはずだ。心配はいらん。ワシもそのための策は打ってある────」