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セイドレイ【完結】
第40章 蚊帳の外の景色
自ら部屋に閉じこもり、長らく社会との関わりを絶っていた慎二は、他人の気持ちを推し量る術が極端に欠落していた。
当然、それは自分自身への理解が乏しいことにも繋がっていた。
雅彦や健一が亜美に対し、性玩具として以上の感情を抱いていることが慎二にはよく分からないでいたのだが、今なら少しだけ理解できるような気がした。
というより、ここへ来て慎二はやっと自分の気持ちに気づいたのだ。
それは、母を亡くした時でさえ無自覚だった感情。
「寂しい」
ということだった。
このところ、慎二は深夜に度々部屋を抜け出していた。
夜が明ける前には部屋に戻り、朝目を覚ました田中と入れ替わるように眠る生活を送っていた。
では一体、慎二は夜中にどこへ行っているのか。
実は数週間前、ネット上で気がかりな書き込みを目にしたからだ。
そう、例の噂。
妊婦と長身男の、変態露出カップルの出没情報だ。
慎二はその書き込みによる目撃情報から、それが亜美なのではな無いかという疑念を抱いた。
そしてそれは、見事に的中していたということになる。
慎二は夜な夜な田中のアパートを抜け出し、そのカップルに出くわすことを期待して、付近を宛もなく彷徨い歩いていた。
元々、出不精な慎二である。
確証も無いまま、長い距離を徒歩で徘徊するなど最もやりたくないことであった。
だがしかし、それが亜美なのではないか…と思ってしまった瞬間に、探さずにはいられなかった。
運良く遭遇したとして、それが亜美なのかは分からない。
仮に亜美だったとして、一体どうするつもりなのだろうか。
書き込みにあるように、その妊婦に誘惑されるがまま野外セックスに興じるのであろうか。
慎二は、自分でも何がしたいのかよく分からなかった。
ただひとつ言えることは、もう一度この目で亜美を見たい、それだけだった。
果たして自分が便器だと思っていたその少女は、本当にそうだったのか。
今はどんな表情をして、絶えず男達の欲求を受け止めているのだろうか。
この目で確かめたかったのだ。
亜美が新堂に連れ去られたあの日、慎二は事の重大性を理解していながらも、あまりの現実味の無さに思考を停止させ、結果亜美を見捨てたのだ。
だが、今ならどうなのだろう。
目の前で、見知らぬ男達から輪姦されている亜美を見たとしても、また同じように見捨ててしまうのだろうか。
当然、それは自分自身への理解が乏しいことにも繋がっていた。
雅彦や健一が亜美に対し、性玩具として以上の感情を抱いていることが慎二にはよく分からないでいたのだが、今なら少しだけ理解できるような気がした。
というより、ここへ来て慎二はやっと自分の気持ちに気づいたのだ。
それは、母を亡くした時でさえ無自覚だった感情。
「寂しい」
ということだった。
このところ、慎二は深夜に度々部屋を抜け出していた。
夜が明ける前には部屋に戻り、朝目を覚ました田中と入れ替わるように眠る生活を送っていた。
では一体、慎二は夜中にどこへ行っているのか。
実は数週間前、ネット上で気がかりな書き込みを目にしたからだ。
そう、例の噂。
妊婦と長身男の、変態露出カップルの出没情報だ。
慎二はその書き込みによる目撃情報から、それが亜美なのではな無いかという疑念を抱いた。
そしてそれは、見事に的中していたということになる。
慎二は夜な夜な田中のアパートを抜け出し、そのカップルに出くわすことを期待して、付近を宛もなく彷徨い歩いていた。
元々、出不精な慎二である。
確証も無いまま、長い距離を徒歩で徘徊するなど最もやりたくないことであった。
だがしかし、それが亜美なのではないか…と思ってしまった瞬間に、探さずにはいられなかった。
運良く遭遇したとして、それが亜美なのかは分からない。
仮に亜美だったとして、一体どうするつもりなのだろうか。
書き込みにあるように、その妊婦に誘惑されるがまま野外セックスに興じるのであろうか。
慎二は、自分でも何がしたいのかよく分からなかった。
ただひとつ言えることは、もう一度この目で亜美を見たい、それだけだった。
果たして自分が便器だと思っていたその少女は、本当にそうだったのか。
今はどんな表情をして、絶えず男達の欲求を受け止めているのだろうか。
この目で確かめたかったのだ。
亜美が新堂に連れ去られたあの日、慎二は事の重大性を理解していながらも、あまりの現実味の無さに思考を停止させ、結果亜美を見捨てたのだ。
だが、今ならどうなのだろう。
目の前で、見知らぬ男達から輪姦されている亜美を見たとしても、また同じように見捨ててしまうのだろうか。