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セイドレイ【完結】
第40章 蚊帳の外の景色
「…あ~あ、そう言えば」

それまでから一変、菅原がやけにもったいつけた口調に変わる。

「……なんだ」

「…いえいえ。僕は院長にまだちゃんとお礼を言ってなかったなぁ…と思って」

「…礼だと?」

「ええ。だってあんな面白いオモチャ、なかなか無いじゃないですか。おかげで仕事のストレスが吹っ飛ぶくらい、毎日愉ませてもらってますよ」

『オモチャ』とは、もちろん亜美のことだろう。

「…しっかし、院長もそのお歳で思い切ったことするよなぁ。だって亜美の処女を奪ったのは、院長なんでしょ?最初に新堂さんから聞いた時は、思わず笑っちゃいましたよ。まだ勃つんだ~ってね」

これは挑発なのだろうか。
自分の息子と変わらない歳の若造にマウントを取られた雅彦は、歯を食いしばり苛立ちをグッと堪える。

「で、親子で揃いも揃って、マワしちゃったんでしょ?いや~、僕には考えられませんよ。自分の親父がヤッてるとこなんて見たらゲロ吐きそう。まぁ親が親なら子も子だ、ってことなんですかねぇ」

「…何が言いたい?」

雅彦の声が怒りに震えているようだ。
しかし、菅原はそこへ更に追い討ちをかける。

「…まぁまぁ、そんなに怖い顔しないでくださいよ。せっかくこうしてご縁があったんですし。あ、これでも医師としてはあなたのこと、ちょっとくらいは尊敬してるんですよ?男としては思いっ切り軽蔑してますけどねぇ。いや、だってさ、だってよ?ふつーに考えたらさ、女子高生が還暦過ぎた爺さんのチンポで悦ぶわけ無いじゃないですか~?」

鼻で笑いながら、菅原は見事なまでに雅彦を逆撫でしていく。

「このビジネスに関しての着想は、結構イイ線行ってたんじゃないかと思いますけどね。でもあんたは何を勘違いしたか…夢でも見ちゃったんですよねぇ?きっと。一度は亜美を妊娠させた気になってるかもしれないけど、どー考えてもあんたの出涸らしみたいなオタマジャクシじゃあ無理無理。ありゃ息子の種ですよ~。亜美だって選ぶ権利はあると思いますしね、ははっ」

「……いい加減にしろっ!」

雅彦はデスクを思い切りバンッ、と叩き、菅原を睨みつける。

「……おー怖。これだからオッサンは嫌いなんだよなぁ」

菅原は面倒くさそうにしながら、動じる気配は一切無い。

「きっ…貴様もワシと同じようなことを亜美にしているじゃないかっ!?」
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