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セイドレイ【完結】
第40章 蚊帳の外の景色
「キレられたと思ったら、今度は親切心ですかね?ご忠告どーも。まぁ確かに、このことが新堂さんにバレたら厄介そうだな、ってことだけは何となく。でも大丈夫ですよ?だって地下室の監視カメラ、一応録画してるみたいですけど、もうしばらくの間だーれもチェックなんてしてないですし。簡単に死角になる場所も見つけちゃいましたしね。掃除担当のおっさんが帰った後は、次の夜まで誰も来ないでしょう?最近、新堂さんも忙しいのか全然顔出さないし」

「そ、そうかもしれんが…と、とにかく、あまり勝手な真似はしない方が身のためだ、と言っているんだ」

「…へえ?人の心配してる場合なんですか?…ま、いっか。とにかく、勘違いしないで欲しいのは、僕は別に新堂さんの捨て駒になるつもりも、このビジネスについてそんなに興味があるわけじゃあないんです」

あっさりと恐ろしいことを言ってのける男だ。
これまで新堂が従えてきた中には居ないタイプの人間だ。

強いて言うならば、新堂に一番似た性質を持っているのが菅原なのかもしれない。

「…では何故、ワシにこんなことを話す?てっきりこれも新堂の指示か何かかと……」

「ははっ、院長ちょっと考え過ぎですよ!まぁ無理もないかぁ。だって新堂さんのせいで全て失って、家族もバラバラになっちゃったんですもんね。心配しないでください、僕は他人から命令されるのが一番嫌いなんでね」

そう言うと菅原は、普段は下がり気味の口角を上げて、ニヤリと意味深に微笑む。

「…だから、院長も好きにやっちゃえばいいんじゃないの?ってことが言いたかったんですよ」

「…どういう意味だ?」

「富も名誉も捨てて、それでも手に入れたかった女なんでしょ?自分は全て失ったって言うのに、他の連中が亜美に好き勝手してるのを、指咥えて見てるだけでいいんですか~?ってこと」

またもや菅原の発言は、雅彦の想定より遥か斜め上を行くものだった。

「…だったら、どうしたと言うんだ。今のワシにできることなどもう何も無い…」

「やだなぁ、もっと熱血漢だと思ってたんですけど。見た目に似合わず繊細なんですねぇ?いや、簡単な話。バレなきゃいいんじゃないですか~?ってこと。何なら僕が協力してもいいですし」

「…お前、自分が何を言ってるのか分かっているのか?」
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