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セイドレイ【完結】
第40章 蚊帳の外の景色
日付を跨いだ深夜。
雅彦は、夜中に産気づいた患者の分娩を終え、寝室へと戻って来ていた。
時計の針は、午前3時を回ったところだ。
出産は時間を選ばないため、夜中に呼び出されることも多い。
熟睡できたのはもう何年前になるだろうか。
そのくらい、雅彦の眠りは基本的に浅く、短かった。
毎度のことで慣れているのだが、今日はどうしてかいつも以上に疲れを感じていた。
昼間、菅原とあんな会話をしたからだろうか。
菅原の言葉が頭をよぎる。
少しくらいなら。
長い1日の終わりに、愛する女の寝息を聞くくらいなら、罰は当たらないのでは無いか。
幸い、この時間なら誰も居ない。
亜美を起こさぬよう、そっと寝顔を見て戻ってくるだけなら。
雅彦はそう思い立ち、寝室を出て地下室へと向かう。
階段を降り1階へ移動すると、長い廊下を歩いて行く。
突き当たりの壁を左に曲がろうとした時、その先にある地下への入口の前で、雅彦は人影を見た。
咄嗟に身を隠して息を殺す。
「(こっ、こんな時間にどうして…しかも、一人か…?)」
雅彦がそこで見たのものは、地下へと降りて行く、新堂の姿だった。
このところ、新堂がこの家に訪れる頻度は極端に減っていた。
雅彦も常に家に居るわけでは無いので確証は無いが、菅原も言っていたように、最近は来ている形跡が無かった。
監視および清掃は本山に、亜美とその胎児の健康管理は菅原に任せることで、新堂が地下室へ訪れる時は、新規会員への案内をする時くらいなはず。
地下へ降りる階段の入口に入って行く姿を見ただけなので、もしかしたら先に誰か居たのかもしれないがーー、それにしては午前3時過ぎというのも妙だ。時間が遅すぎる。
雅彦は引き返すことも考えたが、どうしても何か気になってしまい、気づかれないように地下へ降りてみることにした。
たとえ新堂と出くわしても、先に地下室に居るところを見られるわけでは無いため、適当に誤魔化しも効くだろう。
雅彦はできるだけ音を立てないように、忍び足で地下へ降りて行く。
地下室の扉は閉まっている。
新堂が中に居るのだろうか。
雅彦は中の様子を確認するため、併設されているモニター室の扉をそっと開けると、その中へ入った。
マジックミラー越しに、地下室のパノラマが拡がる。
雅彦はそこで、思いがけないものを見てしまう。
雅彦は、夜中に産気づいた患者の分娩を終え、寝室へと戻って来ていた。
時計の針は、午前3時を回ったところだ。
出産は時間を選ばないため、夜中に呼び出されることも多い。
熟睡できたのはもう何年前になるだろうか。
そのくらい、雅彦の眠りは基本的に浅く、短かった。
毎度のことで慣れているのだが、今日はどうしてかいつも以上に疲れを感じていた。
昼間、菅原とあんな会話をしたからだろうか。
菅原の言葉が頭をよぎる。
少しくらいなら。
長い1日の終わりに、愛する女の寝息を聞くくらいなら、罰は当たらないのでは無いか。
幸い、この時間なら誰も居ない。
亜美を起こさぬよう、そっと寝顔を見て戻ってくるだけなら。
雅彦はそう思い立ち、寝室を出て地下室へと向かう。
階段を降り1階へ移動すると、長い廊下を歩いて行く。
突き当たりの壁を左に曲がろうとした時、その先にある地下への入口の前で、雅彦は人影を見た。
咄嗟に身を隠して息を殺す。
「(こっ、こんな時間にどうして…しかも、一人か…?)」
雅彦がそこで見たのものは、地下へと降りて行く、新堂の姿だった。
このところ、新堂がこの家に訪れる頻度は極端に減っていた。
雅彦も常に家に居るわけでは無いので確証は無いが、菅原も言っていたように、最近は来ている形跡が無かった。
監視および清掃は本山に、亜美とその胎児の健康管理は菅原に任せることで、新堂が地下室へ訪れる時は、新規会員への案内をする時くらいなはず。
地下へ降りる階段の入口に入って行く姿を見ただけなので、もしかしたら先に誰か居たのかもしれないがーー、それにしては午前3時過ぎというのも妙だ。時間が遅すぎる。
雅彦は引き返すことも考えたが、どうしても何か気になってしまい、気づかれないように地下へ降りてみることにした。
たとえ新堂と出くわしても、先に地下室に居るところを見られるわけでは無いため、適当に誤魔化しも効くだろう。
雅彦はできるだけ音を立てないように、忍び足で地下へ降りて行く。
地下室の扉は閉まっている。
新堂が中に居るのだろうか。
雅彦は中の様子を確認するため、併設されているモニター室の扉をそっと開けると、その中へ入った。
マジックミラー越しに、地下室のパノラマが拡がる。
雅彦はそこで、思いがけないものを見てしまう。