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セイドレイ【完結】
第7章 絶望的観測
それから2時間ほど眠っていただろうか。
亜美は太ももの内側にかすかな違和感を覚え、目を覚ました。
(あっ……しまった……────)
経血だ。
寝ている間に、今月の生理が来てしまったのだ。
シーツにほんの少しシミがついている。
亜美は起き上がり、慌ててティッシュで出血をぬぐった。
(今月も来た……とりあえずそれはよかったけど…──)
亜美は壁のカレンダーに目をやり、雅彦が記入した月経周期を確認すると、肩を落としてため息をつく。
(タンポンもらうの忘れてた…どうしよう…──)
亜美の生理用品は、すべて雅彦の管理下にあった。
生理予定日が近づくと、雅彦にお願いしてタンポンをもらわなければいけないという面倒なルールが決められていた。
亜美はそれまでナプキンを使用していたがそれも禁止され、雅彦の命によりタンポンの使用を余儀なくされていた。
その理由はおそらく、単に雅彦がそれを "装着する愉しみ" を味わいたいからであろう。
現在の時刻は、午後3時過ぎ──。
雅彦は病院にいるのか、家の中に姿がない。
(とりあえず…お父様が帰って来るまではティッシュで応急処置するしか…)
「──ん…亜美…?どしたの…?」
健一が目を覚ましたようだ。
「あ、あの……せっ、生理が来てしまって…でも…お父様にお願いするのを忘れててっ……」
「…そゆことね。ていうか今月も来たんだ。危険日にめっちゃ中出しされたのに、なかなか出来ないもんだなぁ~」
こんな無神経な発言にさえ、亜美はもう慣れてしまっていたのだが──。
「親父がいつ帰るか分かんねーし…一緒に買いに行こっか?俺、車出すし」
「えっ…??で、でもっ…──」
「さすがにさぁ、俺はタンポンをレジに持ってく勇気ないからさ。ドラッグストアでも行って、亜美が好きなの買いなよ。親父のことは気にすんな。いちいちあのジジイの変態趣味につきあってらんねーしな」
お前がそれを言うのか、と思わずツッコミたくなってしまう亜美だったが、この際そこはどうでもいい。
雅彦の帰りを待ってもよかったが、出血しているところを慎二に見られでもしたら、またどんな辱めを受けるか分からない。
それに、健一といるかぎり慎二は寄って来ないだろうし、タンポンも手に入れば一石二鳥である。
「じゃあ…すいません。お願いします…──」