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セイドレイ【完結】
第41章 愚かなる兆し
「…僕、不思議に思うことがあったんです。確かに…当然僕らも含め、亜美ちゃんは色んな奴らに酷いことをたくさんされて…肉体的にも精神的にも追い詰められていたと思うんですが…どうして誰にも助けを求めなかったのかな、って。ここまで事態が悪化する前に、警察に駆け込むなり、どこかへ逃げるなり、何か方法はあったんじゃないのかなって…いや、悪いのは僕たちで、亜美ちゃんは何も悪く無いんですけど……だからこそ、余計に…」

「うむ…まぁそれに関しては俺達が何か言える立場じゃねぇし、所詮は男の考えだ。あいつの性格もあるだろうし…親を亡くしたばかりで頼れるのがあの武田家の親父だけだった、ってこともある。そもそもは身内を発端に起こったことだから…あいつもできるだけ我慢しようとしてたんじゃねえかな。俺も最初あいつに『誰にも言わないで』って泣きながらお願いされたんだよ。きっとあいつの中では、高校を卒業して自立するまでは辛いけどあの家で生きて行こうとしてたんじゃねぇかな」

「…ところが、途中から新堂さんが現れた。…いや、最初からそうなる運命だったのか…とにかく、新堂さんが表へ出て来るようになって、更に亜美ちゃんは身動きが取れなくなった、っていうことですかね…」

「…そうだな。現に俺達みたいないい歳したおっさんですら、新堂さんには歯向かえないだろ?お前さんが自首しようとしたけど尻尾を巻いて逃げたのも、それは相手が新堂さんだからだ。違うか?」

「…はい。おっしゃる通りです…ぐうの音も出ません。実際に関わった者にしか、あの人の恐ろしさは分からないですもんね…」

「あいつには彼氏も居たし、そのことでもだいぶ弱みを握られてたしな。結果その彼氏は退学しちまった。それどころか、武田家の連中ですら一家離散にまで追い込まれた。でも誰一人として新堂さんに復讐しようなんて度胸のある奴は居ない。それをまだ15歳だった高崎が出来ないのは当然だと思うぞ。新堂さんは色んな手を使って、あいつの逃げ道を絶ったんだ。俺やお前さんの存在も、その中のひとつ、ってことだよな…」

「…はい。逃げなかったんじゃなくて、逃げられなかったんですよね。…益々、僕はなんてことをっ……亜美ちゃん……うっ…うぅぅ……」

田中は肩を震わせながら、嗚咽を漏らした。
それは後悔の涙か、はたまた贖罪なのか。
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