この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
セイドレイ【完結】
第41章 愚かなる兆し
「…まぁ何にせよ、俺達も覚悟はしておかなきゃならない。いつ何がどうなるかは誰にも分かんねぇからな。新堂さんの気分次第では、俺もお前さんも簡単に首が飛ぶだろう。たとえ告発したところで、会員には公安、弁護士…そのほか錚々たる面子だしな。ただ……」

「…ただ?」

「…もし仮にあいつが…高崎がやろうとしてたことが何だったか分かったとして。…そのことが、俺やお前さんにとって都合が悪いことだったとしても…今みたいに、あいつのために涙を流せるか…?」

本山が言わんとしていることの意図を、田中は理解できた。
それはつまり、亜美のために罪を償えるか、ということだ。

「……はい。すっごく怖いし…できればこのまま逃げ切ってしまいたいと、心のどこかで思ってるっ……でも…でもっ……、それが…亜美ちゃんが本当に望んだことならっ…うっく…うぅぅ……すいません…」

田中は大粒の涙を作業服の袖で拭う。
そして涙こそ流さないものの、本山も田中と同じ心情であった。

「…とにかくだ。まだ今すぐどうこうなると決まったわけじゃない。いくら俺達が中途半端に動いたところで、亜美を余計に傷つけることになったら意味が無いしな。けっ…散々傷つけておいて勝手なもんだが。…とりあえず俺は、隙を見てあいつにもう一度聞いてみようと思う。それに正直、今のあいつがどんな心境なのかは全く分からん。まぁ、俺には何も教えてくれないかもしれんが…」

「…分かりました。じゃあ僕も……じっとしてるだけじゃアレなんで、ひとまず慎二さんと…亜美ちゃんについてちゃんと話をしてみようと思います。一応、僕らよりは亜美ちゃんのことを近くで見ていた人ですし……何か知っていることがあるかもしれない。他の…親父さんと長男さんが、今どうしているかも気になりますしね。だって………」

「………だって?」

「…だって、あんな子を…あんな亜美ちゃんみたいな女の子を知ってしまったら……きっともう、普通には生きられないと思うから。先生はそう思いませんか…?」

「……そうだな」

本山はひと言そう返すと、田中に挨拶をして部活の指導へと戻った。


「(普通には生きられない、か……)」


本山はその後も、心の中でその言葉を反芻していたーー。
/903ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ