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セイドレイ【完結】
第41章 愚かなる兆し
「…近頃、新堂さんは来なくて、代わりに菅原さん…新しく来たお医者さんがお金を持って来てくれるんです。全部持ってってもいいので…それでお願いします」
「い、いやっ…違う!違うんだ高崎、お金なんてどうでもいいんだ……そうじゃなくて」
ここは素直に核心に迫るべきだと、本山は悟った。
「…その…あれだ。お前があのスマホを使って…何をしようとしてたのか。スマホだけじゃない、SDカードもあったろ…?そ、それを教えて欲しいんだ。もちろん誰にも言わない。だってあのスマホは、先生とお前だけの…秘密だから…な?」
「………確かに、私が考えていたことはありました。でも…もういいんです。うん…もういいかな、って最近は」
「…もういいって……な、何のことかは知らんが、もう必要ない、ってことなのか?」
「……そう。そっか。もう必要無いかもしれませんね。うん」
掴みどころの無い返答を繰り返す亜美に、本山は困惑した表情を浮かべる。
やはり、亜美はあのスマホを使って何かをしようとしていた。
しかし、最近になってその必要が無くなった、ということなのか。
「じ、実はな?ついこの前、田中さんと話をしたんだ。その時…お前が『まだやらなきゃいけないことがある』って言ったって聞いてよ?…も、もし…何か先生にもできることがあるならーって……そう思ったんだが………」
「…先生にできること?無いですよそんなの。今更…」
今更。
そのひと言が、本山に重くのしかかる。
自責の念から身勝手に罪悪感を抱き、今更亜美の味方になろうとしても、そんな都合の良い話は無い。亜美がそう言うのも当然だろう。
「……先生は、お子さんいましたよね?」
亜美が唐突な質問をする。
「お、おう…三人居るが……それがどうした?」
「先生は、そのお子さんが……本当に自分の子だどいう自信はありますか……?」
「なっ…?なんだよそれ……自信って…」
あまりに意外なその質問に本山はうろたえる。
しかし、珍しく亜美の方から問いかけてきたのだ。
これはきっと何か意味があるに違いない。
「…そう言われてみりゃあ、自信なんてねーな。男は自分が腹を痛めるわけでも無い。種だけ蒔いて終わりだ。まぁあとはあれか?だんだん自分に似てきたとか…そういうことくらいでしか判断できん。思い込みだと言われりゃそれまでだが…」
「い、いやっ…違う!違うんだ高崎、お金なんてどうでもいいんだ……そうじゃなくて」
ここは素直に核心に迫るべきだと、本山は悟った。
「…その…あれだ。お前があのスマホを使って…何をしようとしてたのか。スマホだけじゃない、SDカードもあったろ…?そ、それを教えて欲しいんだ。もちろん誰にも言わない。だってあのスマホは、先生とお前だけの…秘密だから…な?」
「………確かに、私が考えていたことはありました。でも…もういいんです。うん…もういいかな、って最近は」
「…もういいって……な、何のことかは知らんが、もう必要ない、ってことなのか?」
「……そう。そっか。もう必要無いかもしれませんね。うん」
掴みどころの無い返答を繰り返す亜美に、本山は困惑した表情を浮かべる。
やはり、亜美はあのスマホを使って何かをしようとしていた。
しかし、最近になってその必要が無くなった、ということなのか。
「じ、実はな?ついこの前、田中さんと話をしたんだ。その時…お前が『まだやらなきゃいけないことがある』って言ったって聞いてよ?…も、もし…何か先生にもできることがあるならーって……そう思ったんだが………」
「…先生にできること?無いですよそんなの。今更…」
今更。
そのひと言が、本山に重くのしかかる。
自責の念から身勝手に罪悪感を抱き、今更亜美の味方になろうとしても、そんな都合の良い話は無い。亜美がそう言うのも当然だろう。
「……先生は、お子さんいましたよね?」
亜美が唐突な質問をする。
「お、おう…三人居るが……それがどうした?」
「先生は、そのお子さんが……本当に自分の子だどいう自信はありますか……?」
「なっ…?なんだよそれ……自信って…」
あまりに意外なその質問に本山はうろたえる。
しかし、珍しく亜美の方から問いかけてきたのだ。
これはきっと何か意味があるに違いない。
「…そう言われてみりゃあ、自信なんてねーな。男は自分が腹を痛めるわけでも無い。種だけ蒔いて終わりだ。まぁあとはあれか?だんだん自分に似てきたとか…そういうことくらいでしか判断できん。思い込みだと言われりゃそれまでだが…」