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セイドレイ【完結】
第41章 愚かなる兆し
「…ふふ。お義父様も以前、全く同じことを言ってました。ならもし今、お子さんが自分の子じゃ無いって分かったら…どうします?」
「ど、どうって……んなこと考えたこともねぇしな…分からん。だが、一番可哀想なのは子供だろ?自分が父親だと思ってたのが違ったなんてなったら…ショックだろうよ」
その時、気のせいかもしれないが、亜美のカラダが一瞬だけピクりと震えた気がした。
「…私ね、産んでいいって言われたんです」
「……え?」
「この子、産んでいいって。新堂さんに言われたんです」
本山は耳を疑った。
確かに、腹の子をどうするつもりなのかは、この件に関わる者であれば最も気になるところではあった。
一部の運営側の人間と雅彦しか亜美の正確な妊娠週数を把握していなかったが、本山が見てもその腹の膨らみは、既に中絶できるリミットを超えているようには思えた。
しかしここは産婦人科であるうえ、今では菅原という運営側の産科医が居ることから、何かしらの処置を施すつもりなのだろう、と思っていた。
それがどれだけ人の道に外れたことなのかは分かっている。
だがここは、そんな外道達が集まる場所だ。
そのため、まさか出産するなどという選択肢があるとは、本山は夢にも思っていなかったのだ。
「そ、それはっ…本当か?理事長がそう言ったのか?いつの話だっ??」
「いつごろ…だったかな。でもここへ戻ってくる前ですよ。新堂さんがそう言った、って言うよりは……私が産みたい、って言ったら、了承してくれたんです」
驚きを隠せない本山とは対照的に、亜美は淡々と事実を並べて行く。
「う、産みたい、って……お前本当に…本当にそう思ってるのか?それはお前が本当に望んだことなのかっ…?だってその子は…その腹の子はっ……誰の子かも分かんないんだぞ…?」
「…誰の子か……分からない?」
「そ、そうだ。だってそうじゃないかっ…俺が言えたことじゃないが…あんな、あんな奴らの子だぞ?今日もお前を犯した奴の中にその子の父親が居るかもしれないんだぞ…??それでもお前はっ……」
本山が言葉を詰まらせると、亜美はこう言った。
「…これは、私の子です。誰のものでも無い。私の…私の赤ちゃんなんです」
「ど、どうって……んなこと考えたこともねぇしな…分からん。だが、一番可哀想なのは子供だろ?自分が父親だと思ってたのが違ったなんてなったら…ショックだろうよ」
その時、気のせいかもしれないが、亜美のカラダが一瞬だけピクりと震えた気がした。
「…私ね、産んでいいって言われたんです」
「……え?」
「この子、産んでいいって。新堂さんに言われたんです」
本山は耳を疑った。
確かに、腹の子をどうするつもりなのかは、この件に関わる者であれば最も気になるところではあった。
一部の運営側の人間と雅彦しか亜美の正確な妊娠週数を把握していなかったが、本山が見てもその腹の膨らみは、既に中絶できるリミットを超えているようには思えた。
しかしここは産婦人科であるうえ、今では菅原という運営側の産科医が居ることから、何かしらの処置を施すつもりなのだろう、と思っていた。
それがどれだけ人の道に外れたことなのかは分かっている。
だがここは、そんな外道達が集まる場所だ。
そのため、まさか出産するなどという選択肢があるとは、本山は夢にも思っていなかったのだ。
「そ、それはっ…本当か?理事長がそう言ったのか?いつの話だっ??」
「いつごろ…だったかな。でもここへ戻ってくる前ですよ。新堂さんがそう言った、って言うよりは……私が産みたい、って言ったら、了承してくれたんです」
驚きを隠せない本山とは対照的に、亜美は淡々と事実を並べて行く。
「う、産みたい、って……お前本当に…本当にそう思ってるのか?それはお前が本当に望んだことなのかっ…?だってその子は…その腹の子はっ……誰の子かも分かんないんだぞ…?」
「…誰の子か……分からない?」
「そ、そうだ。だってそうじゃないかっ…俺が言えたことじゃないが…あんな、あんな奴らの子だぞ?今日もお前を犯した奴の中にその子の父親が居るかもしれないんだぞ…??それでもお前はっ……」
本山が言葉を詰まらせると、亜美はこう言った。
「…これは、私の子です。誰のものでも無い。私の…私の赤ちゃんなんです」