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セイドレイ【完結】
第41章 愚かなる兆し
遺伝子上の繋がりを持たない父親に愛された記憶。
そして、禁忌を犯してまで子供を産むことに執着した母親の血が、もしかしたら亜美にそう思わせたのかもしれない。

人はこれを因果と言うのだろうか。

どれだけ望まれていようがいまいが、人はこの世に産み落とされてしまえば、親とは切り離された個体である。

いくら親が愛情を注ごうとも、本人が生まれたことを否定するならば、それがその者にとっての真実なのだ。
その逆も然り、出生や生い立ちにどれだけ不幸な影を落としていても、その人生を謳歌し、与えられた命を全うする者も居る。

子は親を選べない、と言うが、その親もまた、同じように生まれてきたのだ。

だから、亜美が腹の子を産まんとすることを誰も否定はできない。
その子が幸せか不幸であるかは、その子自身が決めることなのだ。

しかし、だとしても…この状況はあまりに酷すぎるのではないか。
生まれた子が将来自分の出生の秘密を万が一にも知ってしまった時、自分に流れる血の半分が陵辱者のものだと知ってしまった時、果たして正気で居られるのだろうか。

何よりそれは、亜美自身が身をもって知っていることではないのか。
その上で、それでも産みたいというのは、単なる親のエゴではないのか。
そして本当に、亜美はそれでいいのだろうかーー。

様々な想いが本山の頭の中を交錯する。
しかし、どんな立場で亜美にそれを説くと言うのだ。

腹の子は、本山の子である可能性もゼロでは無いのだから。

亜美を監禁中、本山は新堂から禁じられていた膣への挿入を行ってしまっている。
ちょうど今日のように、客が亜美に派手な陵辱を働いた夜だった。
理性を失った亜美に導かれるまま、明け方まで何度も何度も、膣内射精を繰り返した。

男とは、「身に覚え」だけには酷く臆病な生き物だ。

「…それに、もしかしたら先生の赤ちゃんかもしれないし……だったらちょっとだけ、嬉しいかもしれない。嬉しい?うん…ほんとにちょっとだけだけど…」

「…お、おい…悪い冗談はやめてくれよ……はは…もしそんなことになったら、理事長に殺されちまう……いや、別に嫌とかそういうわけじゃあ無いんだが……なんというか………嬉しいか?こんなおっさんの子なんて…俺に似たら…大変だぞ…?」

「ふふっ、あはは。先生焦ってるの…?大丈夫」
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