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セイドレイ【完結】
第42章 原風景
「…でも、またどうして急に?お金ならしばらくは…動画で稼いだ分があるって言ってませんでしたっけ?」
「あー…うん。そうなんだけど…さ。実は…亜美と最後に過ごした夜に、あいつに言われたんだ」
「亜美ちゃんに…?」
「そそ。『慎二さんは頭が良くて人に教えるのが上手だから、そういう仕事に向いてると思う』って……」
「亜美ちゃんが…そんなことを……」
「…うん。亜美の奴、馬鹿だよな。俺のことなんて気にかけちゃってさ。しまいにゃあ、『私のせいで家族がバラバラになってごめんなさい』だって。どうかしてるだろ?最も責められるべきは、俺のはずなのに……」
「師匠………」
「田中さんのことも言ってたぜ。『いつも身の回りの世話と美味しいご飯をありがとう。ちゃんとお礼が言えなくてごめんなさい』だとさ……。いっそ責められた方が楽、だなんて思うのは都合が良すぎるよね。今になって…こんな今更になって……自分が亜美に何をしてきたか…考えれば考えるほど、怖いんだ」
「…それは僕も…同じです」
「…でもさ。本当に自分のしたことを反省してるんなら、今すぐ警察に出頭でもして、亜美をあの地下室から解放してやるべきでしょ?でも、そうする勇気すら…俺には無い。俺だけじゃなく、親父や兄貴も。結局、まだ心のどっかで、自分達の『モノ』だった亜美が他の奴らに奪われたことを悔やんでるだけなのかな…ってさ。最後の最後にあんな言葉をかけられたら余計に。新堂さん達がしてることと、俺達がしてたことは違うって、そう思いたいだけなんだよね、きっと」
「…やっぱり。師匠も一度はそう考えたんですね。僕も…警察署の前まで行ってみたりしたんです。だけどそんな勇気は無かった。相手が新堂さんだとか酒井さんだとか、理由はいくらでもありますけど…結局は自分が犯した罪から逃げているだけなんですよね」
田中はここで、本山から聞いた亜美のスマホにまつわる話を慎二に打ち明ける。
「…師匠はそのことについて、何か知りませんか?些細なことでもいいんです。亜美ちゃんがスマホを使って何をしようとしてたのか…思い当たる節でもあれば……」
「いや…だって亜美がスマホを持ってたこと自体、たった今知ったし……あ、でもそういや……」
「あー…うん。そうなんだけど…さ。実は…亜美と最後に過ごした夜に、あいつに言われたんだ」
「亜美ちゃんに…?」
「そそ。『慎二さんは頭が良くて人に教えるのが上手だから、そういう仕事に向いてると思う』って……」
「亜美ちゃんが…そんなことを……」
「…うん。亜美の奴、馬鹿だよな。俺のことなんて気にかけちゃってさ。しまいにゃあ、『私のせいで家族がバラバラになってごめんなさい』だって。どうかしてるだろ?最も責められるべきは、俺のはずなのに……」
「師匠………」
「田中さんのことも言ってたぜ。『いつも身の回りの世話と美味しいご飯をありがとう。ちゃんとお礼が言えなくてごめんなさい』だとさ……。いっそ責められた方が楽、だなんて思うのは都合が良すぎるよね。今になって…こんな今更になって……自分が亜美に何をしてきたか…考えれば考えるほど、怖いんだ」
「…それは僕も…同じです」
「…でもさ。本当に自分のしたことを反省してるんなら、今すぐ警察に出頭でもして、亜美をあの地下室から解放してやるべきでしょ?でも、そうする勇気すら…俺には無い。俺だけじゃなく、親父や兄貴も。結局、まだ心のどっかで、自分達の『モノ』だった亜美が他の奴らに奪われたことを悔やんでるだけなのかな…ってさ。最後の最後にあんな言葉をかけられたら余計に。新堂さん達がしてることと、俺達がしてたことは違うって、そう思いたいだけなんだよね、きっと」
「…やっぱり。師匠も一度はそう考えたんですね。僕も…警察署の前まで行ってみたりしたんです。だけどそんな勇気は無かった。相手が新堂さんだとか酒井さんだとか、理由はいくらでもありますけど…結局は自分が犯した罪から逃げているだけなんですよね」
田中はここで、本山から聞いた亜美のスマホにまつわる話を慎二に打ち明ける。
「…師匠はそのことについて、何か知りませんか?些細なことでもいいんです。亜美ちゃんがスマホを使って何をしようとしてたのか…思い当たる節でもあれば……」
「いや…だって亜美がスマホを持ってたこと自体、たった今知ったし……あ、でもそういや……」