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セイドレイ【完結】
第42章 原風景
慎二は、自分が初めて『セイドレイ』にアップロードする動画を監視モニターの録画から抜き取った時のことをふと思い出す。
「…そういやあの時、俺が画面を操作するとこを亜美がやたら熱心に見てた記憶があるんだよね。あの頃はまだ、監視は俺ら家族三人の役目で…客が来てる時以外は地下室に居なくて、普通に家の中を自由に行き来してたから…ひょっとすると……」
『証拠集め』
慎二と田中は同時にそう口にして、顔を見合わせて頷いた。
「…可能性としては十分にありますよね。亜美ちゃんは監視モニターの録画データから、会員達が暴行に及んでいる記録を抜き取ってスマホへ保存していた。だから大容量のSDカードが必要だったこととも辻褄が合う。でも……だとしたなら、何故それをすぐに持って警察へと行かなかったんでしょうか?亜美ちゃんがどのくらいのデータを保存していたのかは分からないけど、証拠としては十分だったはずでは……」
「うーん…確かに。そこなんだよね。時系列で考えれば、亜美がスマホを手にした頃はまだ普通に学校にも行ってたし、比較的自由に行動できたはず。亜美が俺らと『家族になりたい』って言ってきたのは、それよりもっと後のことだし。何か迷いがあったのかなぁ…」
「…途中で彼氏が…貴之君の存在ができたことで迷いが生じたのかも。15歳の女の子が、自分はレイプの被害者だと彼氏に知られることは相当辛いことのはず」
「それはあるかも。後は…確か会員の中に、亜美の同級生の父親が居るんだよね。市議会議員の新垣とかいう…。もし事が公になれば、当然その娘である同級生の子にも影響してくるよね?それで躊躇してたとも考えられなくはない…」
「なるほど。…確かに、亜美ちゃんらしいと言えば亜美ちゃんらしいですよね。自分が一番辛いはずなのに、いつも他人のことを気にかけて……」
慎二と田中は、与えられた情報から亜美の心情を探ろうと試みる。
しかし、それをすればするほど浮かび上がってくるのは、高崎亜美という少女の痛々しいまでの『優しさ』だった。
そして何より、そんな少女の優しさに漬け込み、欲望の赴くまま暴行を働いてきた当事者が自分達であるという事実から、思わず目を背けたくなってしまう。
「そ、そういえば…最近、ここらで妙な噂があってさ…」
慎二が思い出したかのように、例の『露出狂カップル』について話し出した。
「…そういやあの時、俺が画面を操作するとこを亜美がやたら熱心に見てた記憶があるんだよね。あの頃はまだ、監視は俺ら家族三人の役目で…客が来てる時以外は地下室に居なくて、普通に家の中を自由に行き来してたから…ひょっとすると……」
『証拠集め』
慎二と田中は同時にそう口にして、顔を見合わせて頷いた。
「…可能性としては十分にありますよね。亜美ちゃんは監視モニターの録画データから、会員達が暴行に及んでいる記録を抜き取ってスマホへ保存していた。だから大容量のSDカードが必要だったこととも辻褄が合う。でも……だとしたなら、何故それをすぐに持って警察へと行かなかったんでしょうか?亜美ちゃんがどのくらいのデータを保存していたのかは分からないけど、証拠としては十分だったはずでは……」
「うーん…確かに。そこなんだよね。時系列で考えれば、亜美がスマホを手にした頃はまだ普通に学校にも行ってたし、比較的自由に行動できたはず。亜美が俺らと『家族になりたい』って言ってきたのは、それよりもっと後のことだし。何か迷いがあったのかなぁ…」
「…途中で彼氏が…貴之君の存在ができたことで迷いが生じたのかも。15歳の女の子が、自分はレイプの被害者だと彼氏に知られることは相当辛いことのはず」
「それはあるかも。後は…確か会員の中に、亜美の同級生の父親が居るんだよね。市議会議員の新垣とかいう…。もし事が公になれば、当然その娘である同級生の子にも影響してくるよね?それで躊躇してたとも考えられなくはない…」
「なるほど。…確かに、亜美ちゃんらしいと言えば亜美ちゃんらしいですよね。自分が一番辛いはずなのに、いつも他人のことを気にかけて……」
慎二と田中は、与えられた情報から亜美の心情を探ろうと試みる。
しかし、それをすればするほど浮かび上がってくるのは、高崎亜美という少女の痛々しいまでの『優しさ』だった。
そして何より、そんな少女の優しさに漬け込み、欲望の赴くまま暴行を働いてきた当事者が自分達であるという事実から、思わず目を背けたくなってしまう。
「そ、そういえば…最近、ここらで妙な噂があってさ…」
慎二が思い出したかのように、例の『露出狂カップル』について話し出した。