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セイドレイ【完結】
第42章 原風景
「…となると、新しく来た例の産科医か。…ともかく、男が誰がということより、それが亜美なのかが気になるよね。親父は知ってんのかなぁこのこと…」

「そういえば親父さんとはあれから連絡取ってるんです?」

「…一応は。菅原って男の話も親父から聞いたし。偶然だけどテレビの特集も見ちゃったしね。あとは兄貴の結婚についての話とかさ。まぁ、俺が式に呼ばれることは無いから、どーでもいいんだけど……」

「…そうか。お兄さんも…色々ありますもんね。で、でもとにかく、亜美ちゃんのスマホの中には、地下室での情事が記録されている可能性は高そう…。実は、本山先生が直接亜美ちゃんに、スマホの件についてちゃんと話をしてみる、って言ってたんです。だからまたそのうちその報告があると思うので…その時に、今日師匠とした話をしてみようと思います。…まぁ、そうしたところで何の解決になるのかも、そもそも僕らがどうしたいのかも分かりませんけど…」

「…だね。仮にそのスマホの中に証拠があるとして、それが公になれば当然関わった俺達も逃れられない。…俺なんかは特にさ、既に亜美とハメてる動画が出回ってるわけだし。親父や兄貴だって、地下室で亜美を抱いてたことはあるから、それも証拠として保存されてるかもしれない。結局、酒井っていう後ろ盾が居る以上、新堂さんはどんな手を使ってでも自分だけは助かろうとするだろうしさ。いくら証拠の動画が出てきたって、新堂さん自体は亜美に指一本………あ!」

「どっ、どうしたんですか??」

「…いや。今言いながら気づいたんだけどさ。新堂さんて、今まで亜美に指一本触れて無いんだよ。少なくとも俺が知る限りでは。歳だから~なんつってたけど、本当にそうなのかな。亜美が仮に証拠を集めてたとしたんなら、一番復讐したいのは新堂さんのはずじゃないか…?だけど、一向に手を出してくる気配が無い。もしかして亜美は、その時を待ってたんじゃ…」

「た、確かに…言われてみれば。だとすると、亜美ちゃんの本当の目的は……」
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