この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
セイドレイ【完結】
第42章 原風景
その後、何とか午後の仕事を終えた貴之。
「じゃあ親方、お先に失礼しまっす…!」
「おーう。お疲れな!…あ、そうそう、そう言えば…例の産婦人科、あったろ?」
「え…?あ、はい……武田クリニック…ですよね?」
「ああ。来週、仕事入ったからよ」
「えっ………………」
親方の言葉に、貴之は耳を疑った。
「いやー、ついこの前だよなぁ?お前とここでテレビ見ながら、最近は仕事くれねぇんだ~なんつって話してたのは。しかし奇遇なもんでよ、その後ひっさびさに連絡があってな?今あの病院はリニューアルしてるんだが、病院周りの植木の手入れをして欲しいんだとよ。そんでついでに、すぐ隣にある屋敷の庭木も荒れ放題だからそっちも剪定してくれってことでな」
「……そう…なんすか」
「…ま、そういうことだからよ。アレなら、お前は家からの方が近いから直行直帰でもいいぞ?準備や片付けはこっちでして行くし」
「い、いえ……それは申し訳ないんで」
「そうか?なら良いんだが…。見積もり出したけどよ、結構大変な作業になりそうだが、いい勉強になる。まだまだ暑いから、体調管理だけはしっかりとな。じゃあ今日はお疲れーい!」
「はいっ…!お先に……失礼し…ます」
予想だにしていなかった事態に、貴之は胸騒ぎを覚えた。
もう二度と踏み入れることは無いと思っていた武田家の敷地に、まさか仕事で踏み入ることになろうとはーー。
しかも、貴之はあの家の人間に顔が割れている。
いくら偶然とは言え、いざ貴之の顔を見たらどんな反応をするだろうか。
そしてもしかしたら、そこに亜美も居るかもしれない。
ばったり出くわしでもしたら、一体どんな顔をすれば良いのか。
様々な想いが交錯する。
しかしこんな時ですら…いや、こんな時だから尚更なのかもしれない。
貴之は、今日もあすかの働く風俗店へ電話をかける。
「…あ、はい。18時から、あすかさんで……はい。よろしくお願いします」
電話を切り、店へ向かって自転車を走らせる。
実のところ、貴之があすかに執心している理由は、ただ単に性欲の処理のためだけでは無かった。
「じゃあ親方、お先に失礼しまっす…!」
「おーう。お疲れな!…あ、そうそう、そう言えば…例の産婦人科、あったろ?」
「え…?あ、はい……武田クリニック…ですよね?」
「ああ。来週、仕事入ったからよ」
「えっ………………」
親方の言葉に、貴之は耳を疑った。
「いやー、ついこの前だよなぁ?お前とここでテレビ見ながら、最近は仕事くれねぇんだ~なんつって話してたのは。しかし奇遇なもんでよ、その後ひっさびさに連絡があってな?今あの病院はリニューアルしてるんだが、病院周りの植木の手入れをして欲しいんだとよ。そんでついでに、すぐ隣にある屋敷の庭木も荒れ放題だからそっちも剪定してくれってことでな」
「……そう…なんすか」
「…ま、そういうことだからよ。アレなら、お前は家からの方が近いから直行直帰でもいいぞ?準備や片付けはこっちでして行くし」
「い、いえ……それは申し訳ないんで」
「そうか?なら良いんだが…。見積もり出したけどよ、結構大変な作業になりそうだが、いい勉強になる。まだまだ暑いから、体調管理だけはしっかりとな。じゃあ今日はお疲れーい!」
「はいっ…!お先に……失礼し…ます」
予想だにしていなかった事態に、貴之は胸騒ぎを覚えた。
もう二度と踏み入れることは無いと思っていた武田家の敷地に、まさか仕事で踏み入ることになろうとはーー。
しかも、貴之はあの家の人間に顔が割れている。
いくら偶然とは言え、いざ貴之の顔を見たらどんな反応をするだろうか。
そしてもしかしたら、そこに亜美も居るかもしれない。
ばったり出くわしでもしたら、一体どんな顔をすれば良いのか。
様々な想いが交錯する。
しかしこんな時ですら…いや、こんな時だから尚更なのかもしれない。
貴之は、今日もあすかの働く風俗店へ電話をかける。
「…あ、はい。18時から、あすかさんで……はい。よろしくお願いします」
電話を切り、店へ向かって自転車を走らせる。
実のところ、貴之があすかに執心している理由は、ただ単に性欲の処理のためだけでは無かった。