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セイドレイ【完結】
第42章 原風景
「…いくらなんでもさ、ちょっと来すぎじゃない?君」
貴之の顔を見るなり、あすかがそう言い放つ。
「ご、ごめんなさいっ……自分でも…分かってはいるんだけど…」
「いや…ね?あたしは全然良いっていうかさ。むしろありがたいんだよ。こんなに頻繁に指名入れてくれてさ。しかも…あたし君のこと嫌いじゃないしね。でもさ…でもだからこそ…かな。お金大丈夫なのかなって…ちょっと心配になっちゃって」
「…実は今日、先輩にも同じこと言われちゃいました……い、今はまだ大丈夫なんで。心配かけてすんません…」
「…あたし普通ならこんなこと絶対客に言わないよ?むしろどうやって金落とさせようかしか考えてないし、客がどうなろうが心配したことなんて一度も無い。でも…君は、さ。なんて言うか…あたしもうまく言えないんだけど…ちょっとほっとけないと言うか。話を聞く限り、あんまり良い状態とは思えないんだよね……」
話を聞く限り。
あすかはそう言った。
貴之が頻繁にあすかの元へ通うもうひとつの理由。
それは、亜美にまつわる一連の出来事の顛末をあすかに聞いて貰うためだった。
きっかけは2回目にここへ訪れた時だっただろうか。
他愛のない世間話の流れから元彼女である亜美の話になった。
これまで一人苦しんでいた貴之は、もしかしたら誰かに話を聞いて貰いたかったのかもしれない。
当然、あすかからしたら貴之も客の一人ではあるため、話を聞いてあげることも仕事のひとつだと、最初はそう捉えていたのだが…。
「…とにかく、さ。君はその亜美ちゃんのことがトラウマみたいになっちゃってると思うんだ。こうしてしょっちゅうあたしに会いに来るのも、あたしに会いたいというよりは…依存みたいになってきちゃってる」
「依存……ですか」
「そう。お金はかかるけど、あたしと会えばエッチもできるし、話も聞いて貰えるから。違う?単純にヤリたいだけで通ってくれてるならあたしもこんなことは言わないけど…今の君を見てると、到底そうは思えないんだ」
貴之にもその自覚は薄々ながらあった。
カラダの疼きを鎮めるだけなら、何もあすかだけに執着する必要は無いのだ。
これまで、何人もの客を見てきたあすかからすると、貴之はこの風俗通いを「遊び」としては認識していないと、そう思えたのだ。
貴之の顔を見るなり、あすかがそう言い放つ。
「ご、ごめんなさいっ……自分でも…分かってはいるんだけど…」
「いや…ね?あたしは全然良いっていうかさ。むしろありがたいんだよ。こんなに頻繁に指名入れてくれてさ。しかも…あたし君のこと嫌いじゃないしね。でもさ…でもだからこそ…かな。お金大丈夫なのかなって…ちょっと心配になっちゃって」
「…実は今日、先輩にも同じこと言われちゃいました……い、今はまだ大丈夫なんで。心配かけてすんません…」
「…あたし普通ならこんなこと絶対客に言わないよ?むしろどうやって金落とさせようかしか考えてないし、客がどうなろうが心配したことなんて一度も無い。でも…君は、さ。なんて言うか…あたしもうまく言えないんだけど…ちょっとほっとけないと言うか。話を聞く限り、あんまり良い状態とは思えないんだよね……」
話を聞く限り。
あすかはそう言った。
貴之が頻繁にあすかの元へ通うもうひとつの理由。
それは、亜美にまつわる一連の出来事の顛末をあすかに聞いて貰うためだった。
きっかけは2回目にここへ訪れた時だっただろうか。
他愛のない世間話の流れから元彼女である亜美の話になった。
これまで一人苦しんでいた貴之は、もしかしたら誰かに話を聞いて貰いたかったのかもしれない。
当然、あすかからしたら貴之も客の一人ではあるため、話を聞いてあげることも仕事のひとつだと、最初はそう捉えていたのだが…。
「…とにかく、さ。君はその亜美ちゃんのことがトラウマみたいになっちゃってると思うんだ。こうしてしょっちゅうあたしに会いに来るのも、あたしに会いたいというよりは…依存みたいになってきちゃってる」
「依存……ですか」
「そう。お金はかかるけど、あたしと会えばエッチもできるし、話も聞いて貰えるから。違う?単純にヤリたいだけで通ってくれてるならあたしもこんなことは言わないけど…今の君を見てると、到底そうは思えないんだ」
貴之にもその自覚は薄々ながらあった。
カラダの疼きを鎮めるだけなら、何もあすかだけに執着する必要は無いのだ。
これまで、何人もの客を見てきたあすかからすると、貴之はこの風俗通いを「遊び」としては認識していないと、そう思えたのだ。