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セイドレイ【完結】
第43章 箱庭
貴之はこのことを、あすかに相談していた。
元カノが住んでいるかもしれない屋敷の庭をいじらなくてはいけなくなった、と。
『もはや君、それ呪われてるレベルだから』
あすかは茶化すようにそう言ったが、貴之もそう思った。
『人っていうのはさ、どんだけ切ろうとしたって切れない縁の人も居れば、どうやったって切れちゃう縁の人、そのどっちかだとあたしは思うんだ。君にとってその元カノちゃんは、ひょっとしたら前者かもしれないよ?それが良いことかどうかはまた全然別の話だけどさ…』
あすかの言葉は、いつも貴之の胸に刺さっていた。
「…切ったって切れない、か……」
貴之は無意識に、そう口に出してしまっていた。
「おお?なんだ?枝の話か?」
すかさず親方のツッコミが入る。
「い、いえいえっ…なんでもありません…」
「やっぱお前、熱でもあるんじゃねえか?あんまり無理すっと明日からがきついぞ。アレなら今日は昼で帰って…」
「やっぱお前、変な病気もらったんじゃ…」
「だから違いますって!…お気遣い…ありがとうございます。でも本当に大丈夫なんで…」
こんな会話を、少しだけ楽しいと思える程には貴之も元気を取り戻しつつあった。
下半身の異様なまでの疼きは相変わらずだったが、仕事は休憩中にトイレで射精することで今のところ何とか制御できている。
まだまだ半人前ですら無いが、仕事仲間にも恵まれていると思う。
それに加えて、あすかの存在も大きい。
もうじき店で会うことはできなくなるが、個人的な連絡先も交換することができた。
『そうなると…あたしと君はどっちなんだろうね?切ったって切れないのか、どうやっても切れちゃうのか…さ』
あすかは続けて、そう言った。
「(あすかさん……)」
貴之は、あすかに惹かれ始めていた。
それは風俗嬢と客、という関係以上に。
あすかはそれを『ただの依存』だと一蹴した。
亜美を失ったことの穴埋めをあすかに期待しているだけなのかもしれない。
切ないカラダの疼きを沈めてくれるのなら、誰でもいいのかもしれない。
もし千佳があの時、こんな自分を受け入れてくれていたとしたら、その対象は千佳に向いていたかもしれない。
たが確実に、今も貴之の心の中には亜美が居る。
貴之はそんな自分の節操の無さに嫌気がさしていた。
「…さ、そろそろ仕事に戻るとすっか」
元カノが住んでいるかもしれない屋敷の庭をいじらなくてはいけなくなった、と。
『もはや君、それ呪われてるレベルだから』
あすかは茶化すようにそう言ったが、貴之もそう思った。
『人っていうのはさ、どんだけ切ろうとしたって切れない縁の人も居れば、どうやったって切れちゃう縁の人、そのどっちかだとあたしは思うんだ。君にとってその元カノちゃんは、ひょっとしたら前者かもしれないよ?それが良いことかどうかはまた全然別の話だけどさ…』
あすかの言葉は、いつも貴之の胸に刺さっていた。
「…切ったって切れない、か……」
貴之は無意識に、そう口に出してしまっていた。
「おお?なんだ?枝の話か?」
すかさず親方のツッコミが入る。
「い、いえいえっ…なんでもありません…」
「やっぱお前、熱でもあるんじゃねえか?あんまり無理すっと明日からがきついぞ。アレなら今日は昼で帰って…」
「やっぱお前、変な病気もらったんじゃ…」
「だから違いますって!…お気遣い…ありがとうございます。でも本当に大丈夫なんで…」
こんな会話を、少しだけ楽しいと思える程には貴之も元気を取り戻しつつあった。
下半身の異様なまでの疼きは相変わらずだったが、仕事は休憩中にトイレで射精することで今のところ何とか制御できている。
まだまだ半人前ですら無いが、仕事仲間にも恵まれていると思う。
それに加えて、あすかの存在も大きい。
もうじき店で会うことはできなくなるが、個人的な連絡先も交換することができた。
『そうなると…あたしと君はどっちなんだろうね?切ったって切れないのか、どうやっても切れちゃうのか…さ』
あすかは続けて、そう言った。
「(あすかさん……)」
貴之は、あすかに惹かれ始めていた。
それは風俗嬢と客、という関係以上に。
あすかはそれを『ただの依存』だと一蹴した。
亜美を失ったことの穴埋めをあすかに期待しているだけなのかもしれない。
切ないカラダの疼きを沈めてくれるのなら、誰でもいいのかもしれない。
もし千佳があの時、こんな自分を受け入れてくれていたとしたら、その対象は千佳に向いていたかもしれない。
たが確実に、今も貴之の心の中には亜美が居る。
貴之はそんな自分の節操の無さに嫌気がさしていた。
「…さ、そろそろ仕事に戻るとすっか」