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セイドレイ【完結】
第43章 箱庭
それから午後も、剪定作業は順調に進んで行った。

庭師は昼休憩のほか、10時と3時にしっかりと休憩を取る。
一般家庭であれば、お茶出しをしてくれる所もまだあるにはあるのだが、最近では少なくなってきているらしい。
家主の留守中に作業を頼まれることが多くなって来たということもある。

御手洗も近くにコンビニや公園等があれば極力そこを使用するようにしていたが、今回は、武田家の屋敷のものを使用しても良いとのことだった。
恐らく、先代の頃からそうしていたのだろう。

親方は仕事中や休憩中に、ぼんやりと植樹を眺めていることがあった。
実際にこれはボーッとしている訳では無く、全体のバランスを俯瞰で見ながら微調整をしているらしい。

ただ家から近かったということと学歴不問という条件だけでこの仕事を選んだ貴之だったが、次第に親方や村尾の姿に憧れを抱くようになっていた。
いつか自分も二人のように、自分の腕一本を生業にして行きたい。
そんな目標も抱きつつあった。

ついこの間まで高校生だったことが自分でも嘘のようだった。
持病により野球を諦め、目標を見失ったままこの街にたどり着いた。
これまで色々なことがあったし、今もまだ問題は山積みであることには違いないが、貴之は少しずつ社会というものに足を踏み入れ始めていたのだ。

「さ~てと、今日はこのくらいにしとくか!撤収するぞ~」

親方の声で、本日の仕事が終了する。
貴之が後片付けをしていると、一人の男が親方の元へ近寄って来る。

「今日はもう終わりですか~?お勤めご苦労様です」

「…あーこりゃ先生!どうもどうも。ええ、今日はもうおいとまさせてもらいます。ほら、お前らも挨拶せんか。えっと…」

「あ、菅原です」

「そうだそうだ、菅原先生だ!歳取ると物覚えが悪くてな…こいつが村尾で、こっちが新入りの水野です」

親方に促され貴之と村尾は、菅原へ軽く一礼する。
貴之はその時、菅原がどこか舐め回すような視線をこちらに向けているような気がして違和感を覚えた。

「…明日もまだ、病院側を?」

菅原が親方にそう尋ねる。

「あーはい、予定では明後日まで。そのあとお屋敷の庭の方をやりますかね」

「…そうですか。じゃあ引き続き、暑くて大変ですがよろしくお願いしますね」

菅原はそう言い残すと、病院へと戻って行った。
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