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セイドレイ【完結】
第43章 箱庭
「マジ…なのかよ……」
トイレの前で、驚きに声を震わせているのは村尾だった。
今目の前に、全裸の女が開脚した状態で便座に腰掛けている。
あどけない少女と思しきその顔には似つかわしく無い肉感的なボディが何とも情欲を掻き立てるようだ。
しかし、何よりもまず一番に目が行ってしまうのは、そのポコりと膨らんだ腹だ。
この女は妊娠しているーーと、村尾は瞬時に理解をした。
そしてその腹の表面には、
『ご自由にお使い下さい』
と、太い油性マジックで書かれていた。
親方が彼に耳打ちしたことは、タチの悪い冗談などでは無かった。
『便所に女が居てヌいてくれる』
何と突拍子も無いことを言うのだろうと、村尾は顔を歪めた。
『とにかく行けば分かる』
そう念押しした親方の何とも言えない表情の意味が今なら分かると、目の前に広がる光景を目の当たりにした村尾は息を飲む。
彼もまた、平凡な日常の世界線を越えてしまったのだ。
そう、この高崎亜美という少女に出会ってしまったことによってーー。
「お兄さんは…お弟子さん…ですか?」
亜美が村尾にそう問いかける。
「あっ…ああ。…て、ていうかあんたは…この家の人…なんだよな?」
「…ええ。まぁ……そうです」
「どうして…こんなことしてんだ?それにその腹…この家の息子さんの嫁さんなの…か?」
親方から武田家の家族構成について一応は聞いていた村尾は、亜美についてこんな混沌とした状況の中でも一番理に適っているであろう推測をする。
むしろ、そうでもなければおかしいでは無いか。
この家と無関係な女が、こうして屋敷の中で来客者を誘惑するなど常識では考えられない。
いや、常識など既に超越してしまっているのだが。
AVなどでありがちな、夫の留守中に性欲を持て余した妻が、家に来た宅配業者などを誘惑するといった類いのものなのかと、村尾は真剣に考えていた。
そんな、男の卑劣な妄想を具現化したようなことが、果たして現実にあるのだろうか。
しかも、その女はどう見てもーー、十代にしか見えない。
「…詳しいことは、あまり…。ごめんなさい。ただ、暑い中お仕事していただいているので、ほんの少しのお礼というか…気休めにでもなればと思って…」
「お、お礼って……」
トイレの前で、驚きに声を震わせているのは村尾だった。
今目の前に、全裸の女が開脚した状態で便座に腰掛けている。
あどけない少女と思しきその顔には似つかわしく無い肉感的なボディが何とも情欲を掻き立てるようだ。
しかし、何よりもまず一番に目が行ってしまうのは、そのポコりと膨らんだ腹だ。
この女は妊娠しているーーと、村尾は瞬時に理解をした。
そしてその腹の表面には、
『ご自由にお使い下さい』
と、太い油性マジックで書かれていた。
親方が彼に耳打ちしたことは、タチの悪い冗談などでは無かった。
『便所に女が居てヌいてくれる』
何と突拍子も無いことを言うのだろうと、村尾は顔を歪めた。
『とにかく行けば分かる』
そう念押しした親方の何とも言えない表情の意味が今なら分かると、目の前に広がる光景を目の当たりにした村尾は息を飲む。
彼もまた、平凡な日常の世界線を越えてしまったのだ。
そう、この高崎亜美という少女に出会ってしまったことによってーー。
「お兄さんは…お弟子さん…ですか?」
亜美が村尾にそう問いかける。
「あっ…ああ。…て、ていうかあんたは…この家の人…なんだよな?」
「…ええ。まぁ……そうです」
「どうして…こんなことしてんだ?それにその腹…この家の息子さんの嫁さんなの…か?」
親方から武田家の家族構成について一応は聞いていた村尾は、亜美についてこんな混沌とした状況の中でも一番理に適っているであろう推測をする。
むしろ、そうでもなければおかしいでは無いか。
この家と無関係な女が、こうして屋敷の中で来客者を誘惑するなど常識では考えられない。
いや、常識など既に超越してしまっているのだが。
AVなどでありがちな、夫の留守中に性欲を持て余した妻が、家に来た宅配業者などを誘惑するといった類いのものなのかと、村尾は真剣に考えていた。
そんな、男の卑劣な妄想を具現化したようなことが、果たして現実にあるのだろうか。
しかも、その女はどう見てもーー、十代にしか見えない。
「…詳しいことは、あまり…。ごめんなさい。ただ、暑い中お仕事していただいているので、ほんの少しのお礼というか…気休めにでもなればと思って…」
「お、お礼って……」