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セイドレイ【完結】
第43章 箱庭
時は遡ること3日前。

亜美に昼食を運んできた菅原が、『面白い話がある』と言った。

また良からぬことを考えているに違いないと、亜美は警戒しつつ、菅原の話に耳を傾ける。


「…さっき病院の前で見かけたんだけど、今日から庭師さんが来てるみたいでさ」

「庭師さん…ですか?」

「そうそう。汗臭そうな男が3人居たよ~。亜美の好きそうなさぁ」

「わ、私は…別にっ……そういうわけでは…」


もう既にこの時点で、亜美は菅原が何を企んでいるか大体の検討がつく。
どうせその庭師達を誘惑し、セックスでもしろと言うつもりなのだろう。

深夜に外へ連れ出し、道行く不特定多数の男に亜美を嬲らせているような男の言うことなど、察しがつくのだ。

その事自体には、もうあまり抵抗など無かった。
来る日も来る日も男達の欲求に晒されている亜美にとって、今さらどこぞの庭師が3人増えたところで、誤差の範囲のようなものだ。


「…それで、その庭師さんと…すればいいんですか?」

菅原が本題を口にする前に、亜美は自らそう尋ねてみる。

「ははっ!さっすがー。物分かりがいいよね亜美は。なんかそういうところもムカつくんだけどさー。変態のくせしてイイコぶっちゃって」

そんな理不尽とも思える菅原の批難にさえ、もう亜美は顔色ひとつ変えることは無かった。

「…ま、それは冗談だけど。庭師さん達、木曜日から屋敷の庭に取り掛かるんだって。トイレも屋敷の中のを使うらしいから、そこで待ち伏せてさ…できるよね?」

何の悪びれなく、どこかあっけらかんとした口調で菅原は言う。

「…はい。分かりました」

「よーし、決まりね!じゃあ、僕はそれまでの間に、亜美がちゃんと実行できたか確認できるように、小型のカメラをトイレに設置して準備しとくから。まぁ、天下の亜美にかかればあんな男達チョロいもんでしょ?楽しみだねー」

「……はい」

「しかしなんで今まで思いつかなかったんだろ。工事業者の出入りもたくさんあるのに…でもそれだと人数が多過ぎるか。ははっ。まずは3人くらいがちょうどいいよね?」

「そう…ですね」


こうして、庭師3人とのセックスを命じられた亜美。
今のところ菅原の思惑通り、既に2人の庭師がまんまと亜美の毒針にかかったのだ。

そして残す1人も、当然そうなるであろうと亜美は思っていた。

しかしーー。
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