この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
セイドレイ【完結】
第43章 箱庭
「あっ……ああっ……嘘っ……どうし…て………?」


トイレの扉を開けたその3人目の男の姿に、亜美は目を疑った。

それと同時に、便座に股を広げて局部を顕にしているその女の姿に、貴之もまた目を疑ったのだ。


「…亜美…なのか…?」

「………ぃゃ……見ないで……」

「…亜美?お、俺……」


「いやっ…来ないで………お願いっ………来ないでぇぇぇっ!!」


亜美は両手で顔を隠し、そう叫んだ。


「亜美っ……!!」


すると貴之は、泣きじゃくる亜美のカラダをーー


抱き締めた。


「……えっ?水野…くん?」


予想だにしていなかった貴之のその行為に、亜美は驚いて目を丸くする。


「…亜美……良かった………」


貴之がカラダを小刻みに震わせながら、耳元でそうつぶやく。


(水野…くん…?泣いてる…の…?)


「……会いたかった…。ずっと、ずっと……亜美に会いたかった……また……会えた……俺達、また…会えたっ……」


貴之はそう言って両手を亜美の肩に添えると、二人は顔を見合わせる。

あの優しげなタレ目いっぱいに涙を溜めた貴之が、今目の前に居る。

亜美がその身を呈して守ろうとした貴之が、そこにーー。


亜美はこの状況をどうにかしなければと思うも、何も言葉が出てこないばかりか身動きひとつ取ることができない。


(ど、どうして…?どうして抱き締めるの…?どうして何も聞かないの……?)


会いたかったーー。

貴之はそう言った切り、他には何も言葉を発することなく、ただずっと亜美を見つめている。


「…み、水野…くん?あのっ……私っ……」

亜美はやっとの思いでそう切り出してみるも、続く言葉が見当たらない。


「……何も…言わなくていいから。もう何も聞かない。もっと早くこうしてれば良かったんだ…」

「水野…くん……?」

「もっと早く……こうして亜美の全部を俺が受け止めていれば…そうすれば良かったのにっ…」

「そんなっ?!……そんなことっ……」

「…ごめんな。俺、亜美のこと分かってやれなくてっ…ごめんな。ごめんっ………うっ、うぅっ……」

貴之の目からポロポロと、大粒の涙が溢れ出す。

亜美はそれを、ただ黙ってじっと見ているしか無かった。
/903ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ