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セイドレイ【完結】
第8章 終わりの始まり
「あーはいはい、ったくめんどくせぇな兄貴も親父も。とにかくさ、ヤっちまったもんはしょうがないじゃん。な?亜美もそう思うだろ?」
慎二からの唐突なパス。
亜美は思わず顔を引きつらせる。
「あれ?なんだよその目は。言いたいことあんのかよ」
「い、いえ…」
「けっ、どうせケツの穴でもヒィヒィよがってたんだろ?いつもみたいにさ。本当にド変態だよな~」
「っ…!」
亜美は、「違う!」と大声で叫びたかった。
悔しさと惨めさで、今にも死んでしまいそうになる。
さらに慎二が続ける。
「…とにかく、親父が何を考えてたのか知らないけどさ、俺らケンカしててもいいことないぜ。だろ?だって、同じ秘密を共有してんだし」
少し間を空け、健一もそれに続く。
「…だな。俺は今まで、なんでも親父の言うとおりにやってきたんだ。だからこっからは、フェアに行こうぜ。やろうと思えば、俺が亜美を逃がすことだってできるんだ。そしたらこの家も親父も、何もかも終わりだぜ?」
健一の意外な発言に、目を丸くする亜美。
(私を逃がすことだって…できる?)
この3人の親子関係が、亜美にはますます奇妙に映った。
亜美の知る親子というのは、無償の愛情でつながっているものである。
しかしこの3人は、それとはまったく別のなにかで──。
すると、少々怒りの収まった雅彦が口を開く。
「…分かった。このことに関してはもう何も言わん。その代わり────」
雅彦はなにかを言いかけた。
「──いや、まぁいい。どのみち、もう後には引けんからな」
(何のこと……?)
意味深な雅彦の言葉と表情。
他の2人も、雅彦が言いかけたことを察しているようだった。
(まだ…なにかあるの…──?)
「じゃ、この話はこれで終わりっつーことで!でさぁ、俺、いいこと思いついちゃったんだよねぇ~」
いつになく機嫌が良さそうである慎二が、こんなことを言い出した。
「俺たちでこいつのこと、おしおきしようぜ」
ニヤリ、と亜美の方を向いて、慎二が不敵な笑みを浮かべる。
「ルールを破って兄貴を誘惑して外出したんだろ?アナルセックスまでさせてさぁ。今後こういうことがないように、そのカラダに思い知らせてやんないと」
「えっ…──?」
(なにを言ってるの?!私は誘惑なんかしてないっ…──)