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セイドレイ【完結】
第44章 鏡

新堂が東南アジアへ出向いて少女を買春していたという話は、亜美も本人の口から聞いてはいた。
あの日、初めてこの地下室で客を取る前に新堂と話た時だ。
しかし、本来の目的はそうでは無かったとしたならーー。
「.....あの人は...新堂はっ.....もしかして初めからそうするつもりで...?」
「...お察しの通り。院長からこのビジネスを持ちかけられた時点で、もう思い描いてたんだって。会員達から金を巻き上げつつ、君を妊娠させて子供を産ませる。そうして産まれた子を高値で海外へ売り飛ばす。君のカラダが壊れるまで、ずっとそれを繰り返す。初めから全部その為に、着々と段取りを踏んでたみたいだよ」
「...だから...だから私を妊娠させることに...こだわっていた...?」
「そういうことになるね。...だから、二つ返事で産むことも承諾した。いや、むしろ産んで貰わなきゃ困るんだ。まぁ、僕は最近来た人間だから詳しいことは知らないけど、院長が君にピルを飲ませてたことは...その計画の一番の弊害になっちゃった。君が院長をあそこまで垂らしこむとは、新堂さんも想定外だったんじゃないのかなぁ。罪な女だよね、ほんと」
亜美は震えが止まらなかった。
最初から、子を産ませることだけが目的だったというのか。
これまで、新堂の気まぐれによって肉体的にも精神的にも与えられてきた全ての苦痛は、ただの余興に過ぎなかったということなのか。
亜美が絶望の中、最終的にたったひとつ見つけた一縷の希望。
それは、腹の子を産み、母になる、ということだ。
失われてしまった普通の女性としての未来、そして尊厳を全て投げ打って亜美が導き出したそんな答えすら、新堂はいとも簡単に奪おうというのかーー。
「...相当、ショック受けてるみたいだね。ま、無理もないか...。とりあえず、僕から言えることはここまで。...こんな暗い話題よりさ、もっと楽しいことしようよ。ね?」
「...な、何を言ってるんですか...?」
こんな状況でさえ、一切の拒否権を持たない自分の人生を、亜美は初めて心の底から呪った。
そしていま一度、自分の立場を身をもって知ったのだった。
あの日、初めてこの地下室で客を取る前に新堂と話た時だ。
しかし、本来の目的はそうでは無かったとしたならーー。
「.....あの人は...新堂はっ.....もしかして初めからそうするつもりで...?」
「...お察しの通り。院長からこのビジネスを持ちかけられた時点で、もう思い描いてたんだって。会員達から金を巻き上げつつ、君を妊娠させて子供を産ませる。そうして産まれた子を高値で海外へ売り飛ばす。君のカラダが壊れるまで、ずっとそれを繰り返す。初めから全部その為に、着々と段取りを踏んでたみたいだよ」
「...だから...だから私を妊娠させることに...こだわっていた...?」
「そういうことになるね。...だから、二つ返事で産むことも承諾した。いや、むしろ産んで貰わなきゃ困るんだ。まぁ、僕は最近来た人間だから詳しいことは知らないけど、院長が君にピルを飲ませてたことは...その計画の一番の弊害になっちゃった。君が院長をあそこまで垂らしこむとは、新堂さんも想定外だったんじゃないのかなぁ。罪な女だよね、ほんと」
亜美は震えが止まらなかった。
最初から、子を産ませることだけが目的だったというのか。
これまで、新堂の気まぐれによって肉体的にも精神的にも与えられてきた全ての苦痛は、ただの余興に過ぎなかったということなのか。
亜美が絶望の中、最終的にたったひとつ見つけた一縷の希望。
それは、腹の子を産み、母になる、ということだ。
失われてしまった普通の女性としての未来、そして尊厳を全て投げ打って亜美が導き出したそんな答えすら、新堂はいとも簡単に奪おうというのかーー。
「...相当、ショック受けてるみたいだね。ま、無理もないか...。とりあえず、僕から言えることはここまで。...こんな暗い話題よりさ、もっと楽しいことしようよ。ね?」
「...な、何を言ってるんですか...?」
こんな状況でさえ、一切の拒否権を持たない自分の人生を、亜美は初めて心の底から呪った。
そしていま一度、自分の立場を身をもって知ったのだった。

