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セイドレイ【完結】
第46章 日記
あの時、まさか亜美がこんな気持ちだったとはーー。
貴之は、日記に書かれていることと自分の記憶を付け合わせ、思い出を補完して行く。
恋人になれたことに浮かれつつも、当初から亜美に対して感じていた影。
その理由がようやくはっきりとしたのだ。
その後も読み進めて行くにつれ、当時の亜美を取り巻く状況が徐々に浮かび上がって来る。
地下室。
会員。
雅彦と2人の息子。
そして...新堂。
淡々と綴られる日々の記録から、予想の遥か斜め上を行く衝撃の事実がそこにあった。
「畜生っ...こんなことって...あるのかよっ.....!」
貴之は思わず唇を噛み締める。
武田家の男達による日常的な亜美への陵辱に加え、『会員』と称される権力者達によって地下室にて行われる性的ビジネスの実態。
ついこの間まで高校生だった貴之でさえ、そこに名を連ねる面々には聞き覚えのある者も多かった。
そしてそれらの元締めとして君臨している、新堂の存在。
パズルのピースが嵌合するように、亜美にまつわる謎がひとつずつ明らかになって行く。
しかし、貴之が悔しさを滲ませたのは、何より自分自身に対してだった。
本来であれば、最も亜美を守ってやらなければいけない立場にあった自分が、逆に亜美を追い詰めていたのだ。
日記は中盤以降、貴之への懺悔が目立つようになる。
亜美は、新堂をはじめとする悪魔達の毒牙から、貴之を守ろうと必死だったのだ。
もちろん、貴之も必死だった。
知らなかったのだからしょうがない、と済ませてしまうのは簡単だ。
後悔したところで、あの時の自分には何もできなかったであろう。
だから余計に思うのだ。
自分の無力さを痛感するだけの、亜美を追い詰めただけのそんな思い出に、果たして意味はあったのだろうか、と。
亜美の部屋で初めてカラダを重ね合わせた日から、妊娠させた疑いをかけられた日まで、その全ては新堂によって仕組まれたものだった。
だからこそ貴之は問いたかった。
亜美の本当の気持ちはどこにあるのかを。
亜美を取り巻く全てが取り払われたとして、果たしてその隣には自分が居るのかということをーー。
日記はついに、最後のページに差し掛かる。
貴之は、日記に書かれていることと自分の記憶を付け合わせ、思い出を補完して行く。
恋人になれたことに浮かれつつも、当初から亜美に対して感じていた影。
その理由がようやくはっきりとしたのだ。
その後も読み進めて行くにつれ、当時の亜美を取り巻く状況が徐々に浮かび上がって来る。
地下室。
会員。
雅彦と2人の息子。
そして...新堂。
淡々と綴られる日々の記録から、予想の遥か斜め上を行く衝撃の事実がそこにあった。
「畜生っ...こんなことって...あるのかよっ.....!」
貴之は思わず唇を噛み締める。
武田家の男達による日常的な亜美への陵辱に加え、『会員』と称される権力者達によって地下室にて行われる性的ビジネスの実態。
ついこの間まで高校生だった貴之でさえ、そこに名を連ねる面々には聞き覚えのある者も多かった。
そしてそれらの元締めとして君臨している、新堂の存在。
パズルのピースが嵌合するように、亜美にまつわる謎がひとつずつ明らかになって行く。
しかし、貴之が悔しさを滲ませたのは、何より自分自身に対してだった。
本来であれば、最も亜美を守ってやらなければいけない立場にあった自分が、逆に亜美を追い詰めていたのだ。
日記は中盤以降、貴之への懺悔が目立つようになる。
亜美は、新堂をはじめとする悪魔達の毒牙から、貴之を守ろうと必死だったのだ。
もちろん、貴之も必死だった。
知らなかったのだからしょうがない、と済ませてしまうのは簡単だ。
後悔したところで、あの時の自分には何もできなかったであろう。
だから余計に思うのだ。
自分の無力さを痛感するだけの、亜美を追い詰めただけのそんな思い出に、果たして意味はあったのだろうか、と。
亜美の部屋で初めてカラダを重ね合わせた日から、妊娠させた疑いをかけられた日まで、その全ては新堂によって仕組まれたものだった。
だからこそ貴之は問いたかった。
亜美の本当の気持ちはどこにあるのかを。
亜美を取り巻く全てが取り払われたとして、果たしてその隣には自分が居るのかということをーー。
日記はついに、最後のページに差し掛かる。