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セイドレイ【完結】
第46章 日記
「...アイスコーヒー。ガムシロ抜きで。君は...?遠慮なく、何でも頼んでくれ」

「じゃあ.....メロンソーダください」

『かしこまりました』


日曜日の朝の喫茶店は、付近住民の常連で賑わっている。


「...久しぶりだな。君は元気だったか?」

雅彦が貴之に声をかける。

「そういうのはいいです。早く話をしてください」

「そ...そうだな。すまん。では、単刀直入に言おう。亜美のスマホを君が持っているはずなのだが...それをワシにも見せて欲しい」


やはり、と、貴之は心の中で思う。
しかし、何を根拠に貴之が所持していると雅彦は言っているのか。
証拠が無い以上、シラを切り通すこともできる。

「...俺が持っているっていう...証拠は?」

貴之は雅彦に問いかけた。

「...男の勘、という奴だな。昨日、トメという婆さんの家で、男物のスニーカーを見た。証拠はそれだけだ。その後、スマホに仕込んでいたGPSのアプリは反応しなくなったからな」

「...それだけで、それだけで俺が持っていると判断した?」

「...ああ。ワシの勘違いなら先に謝っておく。どのみち君には話しておきたいことがもう一つある。スマホの件はどちらでも構わんよ...」

「あんた、嘘つきだからな。信じろって言う方が無理がある」

「ほう...。では何故、ここへ来た?君もワシに話したいことがあるんだろう?是非聞かせてくれ」

まるで一進一退の攻防のような会話が繰り広げられる。
男同士、一人の女を懸けた争いのように。

先に闘いの火蓋を切ったのは、貴之だった。

「スマホ、俺が持ってますよ。中身も全部見ました。だから、俺はもう騙されない。あんた達が亜美にしてきたこと、全部知ってます。あの家に地下室があること、そこで亜美がどんなことをされていたのかも」

「.....やはり、そうか」

「やはり?あっさり認めんのかよ。...あんたはこのスマホがあると困るんだろ?ここに書かれていること、保存されたデータ、こんなことが誰かに知られたら大変だからな。それでゾロゾロ引き連れて、トメさん家に行ったんだろ?違うのかよ?」

「...ああ。その通りだ。ぐうの音も出んよ」

「けっ...開き直りかよ。一番タチが悪ぃ」

「...君はそのスマホを持って、どうしたいと思った?亜美の本当の願いを叶えてやってくれ...」
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