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セイドレイ【完結】
第46章 日記
貴之にそう言われ、ようやく席についた雅彦。
その目は、うっすらではあるが涙で潤んでいるようにも見えた。

「...で、亜美をあの地下室から救出するって...一体どういう...」

「...ああ。実は.....」

ここで雅彦は、先日、息子2人及び本山と田中に話した亜美の奪還計画を貴之に告げる。

全ては亜美の願いを叶えるため。
そしてあの地下室から、新堂の呪縛から解き放つため。

亜美の身柄が無事確保でき、その後の生活の見通しが立ち次第、自分が犯した罪については償っていくというものだった。

「...それには、君の力が必要なんだ。幼子を抱えた亜美が生きていくためには、隣りでそれを支えてやる存在が必要だ。それには水野君、君を置いて他にはいない。勝手ばかりを言って申し訳ないが、きっとそうすることが亜美の一番の望みだ...ワシにはもう、このくらいのことしか.....」

「...それが亜美の一番の望み、ねぇ...。はは、やっぱおっさん、何にも知らねぇんだな、亜美のこと...」

貴之の意外な返答に、雅彦は困惑した表情を浮かべる。

「なっ...ど、どういうことだ?き、君も亜美を愛しているし、亜美も君を.....」

「...そりゃ、俺は亜美のことが好きでしたよ。めちゃくちゃ好きだった。じゃあおっさんは?」

「わ、ワシがどうかしたのか...?」

「だから...おっさんは亜美を...愛していたんじゃないんですか?って聞いてるんだけど」

「な、何を今更っ.....それとこれとの何が関係あるっ!?」

「...亜美が愛しているのは、俺じゃないっすよ」

「じゃ、じゃあ一体誰だと言うんだっ...?」


すると貴之は、ポケットに仕舞っていた亜美のスマホをテーブルの上に置き、大きなため息をついてこう言った。


「...亜美が愛しているのは、おっさん、あんたです」


「な.........一体君は...何を...言っている。そんな馬鹿げたことを.......」

「信じる信じないは勝手にすりゃいいと思いますけど...それなら自分の目で確認してみたらいいんじゃないですか?ほら」

貴之はそう言って、亜美のスマホを雅彦の前に差し出した。
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