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セイドレイ【完結】
第47章 夜明けまえ
飴と鞭ーー。
酒井はきっとそのように考えていたのかもしれない。

子供を産み育てることだけに希望を抱いていた亜美。
しかし実際は、亜美がこれから産み落とす子は既に引き取り手が決まっている。

そんな真実を知った亜美が、極端な行動に出てしまう可能性を危惧した酒井は、菅原を利用して間接的に恐怖心を亜美に植え付け、亜美本人には快楽を与えることでコントロールしようと試みたのだ。


「...なぁ、亜美?お前は特別な女、最高の女なんだ。お前が一体何人の男を骨抜きにしてきたか分かるか?官僚も資産家も、お前にかかれば落とせない男なんてこの世にいないんだぜ?つまりお前は『持つ者』だ。俺達と同じ側の人間なんだよ。お前はまだ社会を知らないな?だから自分の力ってもんを分かって無い。ほとんどの人間が、生まれて死ぬまで働いて、なけなしの金を稼いで一生を終えていく。近場で都合のいい仕事、都合のいい人間を選んで、それを幸せだ運命だと都合よく解釈しているだけだ。でもお前は違う。俺と一緒に居れば、欲しいものは何でも手に入る。いわば女王様だ。お前には、強い男が寄ってくる。自分の遺伝子を最高の器で残そうとするオス達が、お前のメスの匂いに引き寄せられてくるんだ。そしてお前は、そんな強いオスの本能をコントロールできる天性の才能があるんだぜ?お前の顔とカラダは、神様が授けた贈り物なんだ...」

「...才...能...?」

「あぁ。だから言ったろ?お前を孕ませたくて、オス共が馬鹿みたいに金を払ってる。そしてお前が産んだ子供を欲しがる人達が、この世界中に居るんだ。こんなこと、お前にしかできないだろ?違うか?」

「よく.....分からない.....」

「ふっ...だろうな。だがそれがお前の一番の魅力だ。じきに分かるよ。俺が教えてやる。分かるまで何度も教えてやるから。俺はもう、お前を便器扱いなんかしたりしない。今までごめんな...?俺も新堂さんも、女王様を守るために頑張ってる。それともお姫様がいいか?お前がそこら辺に居る普通の女子高生なら、こんな危険な思いをしてまでこんなことしないさ。だから、今はちょっとだけ我慢してくれ。元気な赤ちゃんを産むことだけを考えるんだ...」

「元気な.....赤ちゃん.......私の.......」
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