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セイドレイ【完結】
第47章 夜明けまえ
その後、2人は軽く酒を交わした。

親子でこうして酒の席を囲むなど、これまで数える程しか無い。

「...じゃあそろそろ...行くか。お前も明日、早いだろ」

「ああ.....なぁ、親父.....」

「...なんだ?」

「いや...その...さ。本当に...本当にやるんだな」

「何を今更...まさかここへ来て怖気付いたか?」

「いや...何ていうかその.....もし、俺達のしたことが明るみになったら...もちろん律子との縁談は...破談になるよな?」

「だろうな。正直、ワシもどうなるか想像すらできん。場合によっては株価も下がる大事になるような気さえしている...。ワシら家族がどうとか、もうとっくにそんなレベルの話じゃないだろう」

「ははは...そいつはやべー。まぁ、覚悟はしとけ、ってことだよな。あ、あとさ.....」

「なんだ?まだ何かあるのか?」

「もしさ...あの日.....亜美がうちに来た日。俺達が普通に亜美を新しい家族として迎えていたら、どうなってたと思う?」

「.......どのみち、お前か慎二のどちらかが我慢できなかっただろう」

「なっ、なんだよそれっ!?んなこと言ったら親父が一番危ねぇだろうが...」

「そうだな...。まぁ、ワシらなど見向きもされなかっただろう。普通に高校を卒業して、医大に行って、女医になっていたかもしれん。いい男を見つけて結婚していたかもな...」

「そんな...そんな可能性をさ...俺達、亜美から奪っちまったんだよな...」

「とにかく...だ。今は感傷に浸っている場合では無い。もう間もなく、こんな日常ともおサラバだ。戻りたいと思っても、二度と戻ることはできん。一生をかけて、ワシらは亜美に償いをして行かなければならない」

「...分かった。大丈夫。俺ももう...迷いは捨てるよ」


そんな会話を交わし、二人はそれぞれ帰路に着いた。
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