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第49章 業火

「では、情報提供ということで...改めて、氏名を聞かせてもらってもいいかな？」

「はい。水野...貴之です」

その頃貴之は、警察署の取り調べ室に居た。

ここ3日間程、ネット上で持ち切りとなっている話題がある。

それは、アダルト動画投稿サイト『セイドレイ』にアップロードされた数々の動画についてだった。

慎二がサイトに動画をアップしたのが3日前の昼過ぎ。

公開直後は平日の昼間ということもあり、さほど反応は見られなかった。

夜になり、サイトの閲覧者達はあの伝説のアカウント『aminogosyujinsama』が復活を遂げていることを知る。

しかも、大量の動画が一挙に公開され、それらは無料で閲覧できるという大盤振る舞い。

かつてのファン達は歓喜にあえぎ、こぞって動画を視聴したのだが、すぐさまいつもと様子がおかしいことに気付いたのだった。

公開された数十本に及ぶ動画のタイトルには、その全てに何らかの氏名と年齢、そして職業などの肩書きが、更に概要欄には、詳細なプロフィールや経歴といったものが記載されていた。

視聴者達は最初こそ、それが何のための情報なのか不思議に思ったのだが、実際に動画を観てその意図が何であるかを理解する。

そこに記載されている名前は、メディア等で顔を知られている者も複数存在した。
政治家や官僚、弁護士や医師、企業家等、社会的地位が高い者ばかりが名を連ね、動画の中で『あの少女』にこれでもかと猥褻行為を奮っていたのである。

そして全ての動画の最初と最後に、こんなテロップが映し出されていた。

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私は高崎亜美(16)
これらの男達によって地下室に監禁され
長きに渡り性的暴行、強姦の被害に遭っています
現在妊娠もしています
場所は、〇〇県〇〇区
産婦人科『武田クリニック』の院長宅です

皆さんの力が必要です
どうか、私をこの籠城から救ってください

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