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セイドレイ【完結】
第49章 業火
新堂と酒井、2人の様子が明らかにおかしい。

しばらく2人は会話した後、酒井は慌てて再び部屋の隅に捌けて行く。
しかし酒井が去ってからも、新堂は俯いたまま顔を上げようとしない。

不審に思った雅彦は、意を決して新堂に尋ねる。

「...新堂...?どうしたんだ...?」

「...くっ、雅彦っ!貴様ぁぁぁぁぁぁ!!」

新堂はそう絶叫すると、雅彦の胸ぐらに掴みかかる。


「雅彦っ!!貴様一体っ...自分が何をしたのか分かっているのかあああっ??!!!」


「...ちょ、ちょっと待てっ...何があったと言うんだ!?」


普段、滅多に感情を表に出さない新堂が、見るからに激昴している。
新堂の異変に、亜美を犯していた会員達もちらほらと気づき始める。

そんな会員達の視線に、『まずい』と思ったのか、新堂は瞬時に平静を装い、雅彦の胸ぐらから手を離した。

「...新堂さん?一体どうなされたんですか...?」

一人の会員が新堂に尋ねる。

「...失礼。大したことではございませんので.....」

新堂は少しの沈黙の後、会員達が群がる部屋の中央へ近寄って行く。


「...えー、み、皆さん。お愉しみ中大変心苦しいのですが...本日はこれにてお開き、ということにさせていただきます。急で申し訳ありません...」

そう言って頭を下げる新堂に、会員達が一斉にどよめく。

「えー?そりゃないよ新堂さん!私なんてまだ一発しか出しておらんのですよ??」

「これからって時に...納得行きませんなぁ。今日だって忙しい中、急遽都合をつけて参加したんですよ?しかも、特別料金まで払って...」

「ちゃんと理由を説明していただかないと!」

会員達が口々に不満を訴える。
しかし新堂は顔を上げようとはしない。

「...皆様のお怒りは承知しております。今日の埋め合わせは必ずや...料金も全額返金対応させていただきます...。後ほどまたご案内させていただきますので、本日のところはどうかご勘弁いただけないでしょうかっ...」

心做しか、新堂の声が震えているようにも聞こえる。

「...お願いしますっ!とにかく、できるだけ早くここからお帰りくださいっ!大変っ...申し訳ありませんっ!この通りですっ...!」

新堂はそう言って、床に頭をつけて会員達に土下座をした。
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