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セイドレイ【完結】
第49章 業火
菅原はそう言うと、ポケットから着火機を取り出して構えた。

「お、おいおい何なんだあいつは!?勘弁してくれぇ~!!!」

ただ事ではないと察知した会員達はどよめき、着替えも終えぬままに皆全裸や半裸のままで部屋から逃げ出して行く。

「...あーあー。あんなみっともない姿で。ま、ちょうどいいや。僕が相手にしてるのはあんな小者達じゃないし。ね?新堂さん?」

「ぐっ...さ、酒井君!?酒井っ!?何をしているっ!??早く菅原を取り押さえんかっ...!??」

新堂は酒井に向かってそう叫ぶも、どうにも電話を切るに切れない状態らしい。

「酒井っ!!対応は後でいいっ!!早く菅原をっ.....お、おいっ!?やめろっ...!!!!」

新堂の制止も虚しく、菅原はついにガソリンに点火した。

ボゥ、という音と共に、炎が一気に燃え上がる。

熱風にたじろぐ男達。

ようやくその頃になって、ぐったりと放心状態になっていた亜美は、部屋の中で燃え盛る炎に気づいた。

「...え?どうして...燃えてる...?あれは...菅原さん...!?」

正気を取り戻した亜美が起き上がるのを確認した菅原は、雅彦達を縛っている縄を順にカッターで切断し、拘束を解いた。

「...すっ、菅原君!?君は一体どうするつもりだ...?ゲホッ、ゲホッ...」

雅彦が菅原にそう問いかける。
既に煙が充満してきていた。

「...早く行って。亜美を連れて逃げてください」

菅原は雅彦にそう返答する。

「し、しかしっ...このままではっ...ゲホッォ...き、君がっ...」

「...僕のことなんかいいから。早くっ!あんた、亜美を愛してるんだろっ...!?だったらつべこべ言わずにさっさと亜美を連れて逃げろっ!!」

「...菅原...君...!すまないっ...!!さぁ、お前達も早く逃げるんだっ...!出口の方にも火の手がっ...」

雅彦は息子2人、そして本山と田中に避難を促すと、ずっと拘束されていたせいでおぼつかない足を懸命に動かし、床で混乱している亜美の元へ近寄って行く。

「...亜美っ!大丈夫か!?なるべく煙を吸わないようにっ...!」

「おとう...さま...?」

雅彦は亜美を抱きかかえ、自身の白衣を脱いで亜美にを包むと、燃え盛る炎をかき分けながら出口へと向かう。
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