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セイドレイ【完結】
第50章 セイドレイ

「...読めば読むほど...虫唾が走るわ...」
有志の元に制作された事件のまとめサイトの文章を見て、そう呟く一人の女が居た。
彼女の名は、月島楓(32)。
黒髪のロングヘアを掻き上げながら、缶ビールを片手にPCの画面に張り付いている。
すると、楓のスマホの着信音が鳴る。
「...母さん...か」
楓は電話の主が誰かを確認し、小さくため息をついて通話ボタンをタップした。
「...はい、もしもし?どーしたの?...うん。あーそのことね。私は大丈夫だから。うん、うん...だから心配しないで。あんな仕事一本減ったくらいでどーってことないから。うん。...はい。そうよ。そうそう。分かったから。だから父さんにも心配しないでって...うん。はいはい。...私今忙しいからもう切るね?はい。はーい。じゃ」
母親からの電話を手短に済ませると、楓は再びため息をついた。
「...はぁ~あ。どーってこと無いとは言ったものの...なかなかそうも言ってらんないのよね...」
彼女は大学を卒業後、報道記者として数年働いた後、フリーに転身。
現在はノンフィクション作家として生計を立てている。
著書の中でもベストセラー『赤ちゃんの値段』は、養子斡旋団体を隠れ蓑に横行する違法な人身売買についての真相を究明し、一時期話題となった。
その他の著書に関してもそこそこ部数は出せているものの、最近はヒット作から遠のいている。
彼女が作品の中で扱うのは、どれもこの日本という国においての『女』と『性』の問題というテーマで一貫していた。
貧困から風俗産業に従事する女性の実態や、近親相姦、レイプ被害者の悲痛な叫び等々。
普段世の中が目を背けている、男によって日陰で生きることを余儀なくされてしまった女達の実態とその裏側を、綿密な取材を元に生々しく書き上げる。
彼女が何故、性的に搾取される女性ばかりを描くのかは明確な理由があったのだが...。
これまで何十人と性的搾取によって深い傷を負った女達を見てきた楓にとって、この『セイドレイ事件』は到底無関心ではいられない事件だった。
有志の元に制作された事件のまとめサイトの文章を見て、そう呟く一人の女が居た。
彼女の名は、月島楓(32)。
黒髪のロングヘアを掻き上げながら、缶ビールを片手にPCの画面に張り付いている。
すると、楓のスマホの着信音が鳴る。
「...母さん...か」
楓は電話の主が誰かを確認し、小さくため息をついて通話ボタンをタップした。
「...はい、もしもし?どーしたの?...うん。あーそのことね。私は大丈夫だから。うん、うん...だから心配しないで。あんな仕事一本減ったくらいでどーってことないから。うん。...はい。そうよ。そうそう。分かったから。だから父さんにも心配しないでって...うん。はいはい。...私今忙しいからもう切るね?はい。はーい。じゃ」
母親からの電話を手短に済ませると、楓は再びため息をついた。
「...はぁ~あ。どーってこと無いとは言ったものの...なかなかそうも言ってらんないのよね...」
彼女は大学を卒業後、報道記者として数年働いた後、フリーに転身。
現在はノンフィクション作家として生計を立てている。
著書の中でもベストセラー『赤ちゃんの値段』は、養子斡旋団体を隠れ蓑に横行する違法な人身売買についての真相を究明し、一時期話題となった。
その他の著書に関してもそこそこ部数は出せているものの、最近はヒット作から遠のいている。
彼女が作品の中で扱うのは、どれもこの日本という国においての『女』と『性』の問題というテーマで一貫していた。
貧困から風俗産業に従事する女性の実態や、近親相姦、レイプ被害者の悲痛な叫び等々。
普段世の中が目を背けている、男によって日陰で生きることを余儀なくされてしまった女達の実態とその裏側を、綿密な取材を元に生々しく書き上げる。
彼女が何故、性的に搾取される女性ばかりを描くのかは明確な理由があったのだが...。
これまで何十人と性的搾取によって深い傷を負った女達を見てきた楓にとって、この『セイドレイ事件』は到底無関心ではいられない事件だった。

