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セイドレイ【完結】
第50章 セイドレイ
「まさか亜美ちゃんが私なんかの本を読んでくれているなんて...嬉しいな。てことは、私がどうしてあんな本を書いているかっていうことも...もう知ってくれてるのかな?」

「は、はい...巻末にプロフィールが載っていたので...」

楓がどうして『女』と『性』を描くノンフィクション作家になったのか。

それは、楓自身がレイプ被害者であることが理由だった。

楓はそれを公表した上で作家として活動しているのである。


「...あと、先週ここでテレビを見ていたら、たまたま楓さんが私の事件のことをお話されてて...なんていうか、私なんかのことをあんな風に...真剣に話してくれている人は初めてだったので...」

「...あちゃー。あれ本人に見られちゃってたんだ...。やっぱり私、テレビ向いて無いよね。降板になって正解だったかも...」

「...降板されたんですか?も、もしかして事件のこと喋っちゃったからそのせいで...?」

「え?あ、うん!べ、別にあれだよ?あの事件のことは関係無いから気にしないで。元々私、あんま好かれてないからさー。...じゃあ、それが理由で、私に会ってくれたってことでいいのかな...?」

「そう...ですね。後は、すごく綺麗な人だな、って...でも、実物はもっと素敵で、私今感動してます。あの...もし良かったら、あとでサインをいただいてもいいですか...?」

拍子抜け、という言葉はこの時の為にあったのだろうかと、亜美のあまりに屈託の無い愛らしさに、楓は本来の目的を忘れそうになる。

「...亜美ちゃんのためならいくらでも書くよ。何十枚でも何百枚でも...って、そんなにいらないか!ははは...」

こうして冗談を言って笑い合っている限り、とてもじゃないが亜美があんな事件の被害者とは思えない。

そもそも、前提が間違っているのでは無いかと楓は自問自答する。

確かに亜美は、卑劣な男達の犠牲となった監禁事件の被害者だ。

しかし、ハナから亜美が不幸であると決めつけていたことに気づく。
いや、不幸には違いないだろう。

では、楓は亜美に何を期待してしまっていたのか。
亜美が一体どんな表情で、どんな言葉を発すれば自分は納得したのだろうか。
楓は、亜美に対して勝手な先入観を抱いていたことを心の中で恥じた。
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