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セイドレイ【完結】
第50章 セイドレイ

「...亜美ちゃん、無駄な時間なんて無いのよ。私の人生なんて、あなたがこの1年半の間に失ったものに比べたらどうってことないわ。そもそも比べることじゃないけどね。私は、今日亜美ちゃんがこうして会ってくれただけでも、信じられないくらい嬉しい。それだけでも、今までこの仕事してきて良かったと思ってるの。だから、そんな風に私に気を遣ったり、自分を責めたりしないで...」
「...楓さん。私、楓さんの本の中で、すごく印象に残っている言葉があるんです」
「...え?そうなの...?やだ、死ぬほど嬉しいけど恥ずかしい...どの部分か聞いちゃってもいいかしら...?」
「はい。『守る方も全力だが、守られる方もまた全力なのだ』っていう部分です。...私、色んなことがあって、その度に、自分を守ったり、守られたり、誰かを守りたいと思うことがいっぱいあって。特に、お腹に赤ちゃんができてからは、何としてでもこの子達を守ってあげなきゃって...毎日、地下室の中で思っていたんです。でも、全力なのは私だけじゃなくて、この子達も同じなんだな、って思ったんです」
「...亜美ちゃん.....」
「あんな毎日の中、それでもこの子達はちゃんとここまで大きくなってくれた。今思えば奇跡なんじゃないかな、って思う。私みたいなのがお母さんだったばっかりに、お腹の中で聞きたくない言葉もたくさん聞いちゃったと思う。それでも、全力で守られようとしてくれてるんじゃないか、って...楓さんの本を読んで思ったんです。私がそう信じたかっただけなんですけど...」
亜美からのそんな言葉を聞いた楓に、もう先程までの戸惑いや迷いは無かった。
亜美から発せられる言葉に嘘はひとつも無いであろうと、楓はこの時に確信したのだ。
それはもはや理屈で説明できるものでは無かった。
ただ、この『高崎亜美という少女から見た真実』を描きたいと、そう強く思ったのだ。
「...ありがとう。そんな風に思ってもらえたなら、私が本を書いてきた意味はあったんだね。そうやって、いつも誰かが私に生きる意味を教えてくれる。私は傷ついた女性を救いたいと思っていたけど、実際は私の方が救われてきたんだよね。本当に...あれ?なんだか涙が出てきちゃった...やだーもう!取材者として失格だわ...」
「...楓さん。私、楓さんの本の中で、すごく印象に残っている言葉があるんです」
「...え?そうなの...?やだ、死ぬほど嬉しいけど恥ずかしい...どの部分か聞いちゃってもいいかしら...?」
「はい。『守る方も全力だが、守られる方もまた全力なのだ』っていう部分です。...私、色んなことがあって、その度に、自分を守ったり、守られたり、誰かを守りたいと思うことがいっぱいあって。特に、お腹に赤ちゃんができてからは、何としてでもこの子達を守ってあげなきゃって...毎日、地下室の中で思っていたんです。でも、全力なのは私だけじゃなくて、この子達も同じなんだな、って思ったんです」
「...亜美ちゃん.....」
「あんな毎日の中、それでもこの子達はちゃんとここまで大きくなってくれた。今思えば奇跡なんじゃないかな、って思う。私みたいなのがお母さんだったばっかりに、お腹の中で聞きたくない言葉もたくさん聞いちゃったと思う。それでも、全力で守られようとしてくれてるんじゃないか、って...楓さんの本を読んで思ったんです。私がそう信じたかっただけなんですけど...」
亜美からのそんな言葉を聞いた楓に、もう先程までの戸惑いや迷いは無かった。
亜美から発せられる言葉に嘘はひとつも無いであろうと、楓はこの時に確信したのだ。
それはもはや理屈で説明できるものでは無かった。
ただ、この『高崎亜美という少女から見た真実』を描きたいと、そう強く思ったのだ。
「...ありがとう。そんな風に思ってもらえたなら、私が本を書いてきた意味はあったんだね。そうやって、いつも誰かが私に生きる意味を教えてくれる。私は傷ついた女性を救いたいと思っていたけど、実際は私の方が救われてきたんだよね。本当に...あれ?なんだか涙が出てきちゃった...やだーもう!取材者として失格だわ...」

