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セイドレイ【完結】
第50章 セイドレイ
急速に打ち解けた2人は、その後も事件のことではない他愛ない話をいくつか交わした。

気づけば、取材できる時間はあと少ししかない。

すると亜美は、机の引き出しから一台のスマホを取り出し、それを楓に渡す。

「...これは?」

「これは、私が以前使っていたスマホです。今は解約してあるので通信はできません。ついこの前まで証拠品として押収されてたんですけど、最近返してもらえたんです。そのスマホの中に、私があの家で過ごした記録が日記として残っています。もし、本を書く上での参考になればと思って...」

「こ、これを私に...?いいの?本当に!?」

「...はい。一応、弁護士さんからの許可は頂いているので問題はありません。私はもうすぐ出産があるので、しばらくはあまり取材にお答えできないかもしれないので...。私、なかなか言葉にして伝えるのが下手くそなので、それを一通り確認してもらってからの方がスムーズかもしれないし...。と言っても、どのみち私が書いた日記なんで分かりにくいかもしれないですが」

「...分かった。私もちゃんと亜美ちゃんに向き合う為に、しっかり預かるね。本当に...何から何までありがとう...」

「それと、これが私の連絡先です。今は新しいスマホを使っているので、何かあればここへメッセージを送ってください。では、今日はこの辺で.....」

亜美はそう言ってICレコーダーの電源を切る。
リミットの1時間までにはあと15分程残っているのだが、切りの良いところで取材を切り上げたいのだろうと楓は思った。

しかしーー。

「...楓さん。実は...これから話すことは弁護士さんには内緒なんですけど...私のお願いをひとつ、聞いてもらってもいいですか...?」

「亜美ちゃんの...お願い?も、もちろん!私にできることならなんでも言って...!」

そのためにICレコーダーを切ったのかと楓は納得する。

「(意外と...大胆なことするのね。やっぱりなんかすごいわ、この子...)」

楓が亜美の行動に感心していると、亜美は机の引き出しから一通のボロボロになった封筒を取り出した。

「...それ、手紙か何かかしら...?」

楓が尋ねると、亜美はその封筒から中身を取り出した。
そこには、1枚の便箋が入っていた。
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