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セイドレイ【完結】
第50章 セイドレイ

「...もうあまり時間が無いので手短に話しちゃうんですけど...、私、パパとは血が繋がって無かったんです」
「...え?そ、そうなの...?」
「...はい。パパは無精子症だったんですが、ママは私を自然妊娠した。つまり、パパじゃない誰かと...。パパはその事を知ってからも、私にはその事を隠して、亡くなるまで精一杯愛情を注いでくれました。その辺の詳しい事情も、スマホの中に書いてあるのでまた見ておいてもらえると助かるんですが...。で、この手紙には...私の...本当の父親にあたる人の名前と住所が書かれているんです。つまり、血の繋がっている、生物学上の父親です」
亜美はそう言うと、その手紙を楓に見せる。
「...これは、私のお父様が...えっと、ややこしいですね。武田雅彦がずっと持っていたものなんです。簡単に説明すると、私のパパとママは、昔お父様のところで不妊治療を受けていて。だから、パパが無精子症であることをお父様は知っていたし、私がパパと血の繋がりがないことも知っていたんです。で、パパはその事をお父様に相談してた...って経緯がまずあるんですけど...」
「う、うん...ちょっといきなり複雑でびっくりしてるけど、何となく大丈夫。続けて...?」
「...すいません。で、ある時に、ママは私の本当の父親が誰であるかをパパに打ち明けた。それがこの手紙に書いてある人なんですけど...。パパは、もし私に遺伝的な疾患が見つかったり、事故や病気で移植が必要になった時の為に、本当の父親の所在を突き止めておきたかったらしいんです。で、自分達夫婦にもしものことがあった場合に備えて、事情を知るお父様...武田雅彦にその事を手紙で知らせた、っていう。つまり、私のパパが、私の本当の父親の名前と住所を、私のお父様に手紙で送った...なんかお父さんがいっぱいいるみたいでややこしいですよね...」
「...要するに、亜美ちゃんの血縁上の父親の所在が書かれた手紙を、武田雅彦が持っていた、ってことね?」
「そ、そうなんです!簡単に言うとそんな感じで...」
取り急ぎ事情については無理矢理納得した楓であったが、全く別の点で気になることがひとつあった。
「(武田雅彦のことを、『私の』お父様...って言うのね。本人は無意識かしら...それともたまたまかしら...)」
「...え?そ、そうなの...?」
「...はい。パパは無精子症だったんですが、ママは私を自然妊娠した。つまり、パパじゃない誰かと...。パパはその事を知ってからも、私にはその事を隠して、亡くなるまで精一杯愛情を注いでくれました。その辺の詳しい事情も、スマホの中に書いてあるのでまた見ておいてもらえると助かるんですが...。で、この手紙には...私の...本当の父親にあたる人の名前と住所が書かれているんです。つまり、血の繋がっている、生物学上の父親です」
亜美はそう言うと、その手紙を楓に見せる。
「...これは、私のお父様が...えっと、ややこしいですね。武田雅彦がずっと持っていたものなんです。簡単に説明すると、私のパパとママは、昔お父様のところで不妊治療を受けていて。だから、パパが無精子症であることをお父様は知っていたし、私がパパと血の繋がりがないことも知っていたんです。で、パパはその事をお父様に相談してた...って経緯がまずあるんですけど...」
「う、うん...ちょっといきなり複雑でびっくりしてるけど、何となく大丈夫。続けて...?」
「...すいません。で、ある時に、ママは私の本当の父親が誰であるかをパパに打ち明けた。それがこの手紙に書いてある人なんですけど...。パパは、もし私に遺伝的な疾患が見つかったり、事故や病気で移植が必要になった時の為に、本当の父親の所在を突き止めておきたかったらしいんです。で、自分達夫婦にもしものことがあった場合に備えて、事情を知るお父様...武田雅彦にその事を手紙で知らせた、っていう。つまり、私のパパが、私の本当の父親の名前と住所を、私のお父様に手紙で送った...なんかお父さんがいっぱいいるみたいでややこしいですよね...」
「...要するに、亜美ちゃんの血縁上の父親の所在が書かれた手紙を、武田雅彦が持っていた、ってことね?」
「そ、そうなんです!簡単に言うとそんな感じで...」
取り急ぎ事情については無理矢理納得した楓であったが、全く別の点で気になることがひとつあった。
「(武田雅彦のことを、『私の』お父様...って言うのね。本人は無意識かしら...それともたまたまかしら...)」

