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セイドレイ【完結】
第9章 盟友

もともと武田クリニックは、雅彦の父である先代が「武田産婦人科」として開業し、息子である雅彦が二代目としてその後を継いだ。

当時、まだ若かった雅彦は、先代の死により急遽病院を継ぐことを余儀なくされ、この巨大な屋敷と病院、そして莫大な借金を抱えることになる。

妻の良枝、そして健一と慎二の息子2人を抱え身を粉にして働くも、病院の経営は傾く一方。
ついに銀行からの融資も断られ、一家心中でも図ろうかと考えていた矢先──。

雅彦の同窓生であり、今は亜美が通う学園の理事である「新堂義之(しんどう よしゆき)」から、無利子での個人的な融資を提案される。

いわゆる、信用貸しである。

路頭に迷っていた雅彦は、藁にもすがる思いで新堂に借り入れをし、なんとか病院経営を立て直すのだったが──、近ごろまた、資金調達に頭を悩ませていた。

長男の健一を医学部に行かせるため、それだけでも莫大な費用がかかっている。
おまけに次男の慎二は働くこともせず、親のスネをかじって引きこもる毎日。

さらに時代は変化し、近隣には最新の設備が整った、まるでホテルのような産婦人科が建ち並ぶ。
せめて設備だけでも新しくした状態で健一に引き渡さなければ、武田クリニックの存続はないだろう。

雅彦も、あとどのくらい医師として働けるかも分からないし、そのうち病気で死ぬかもしれない。

そんなふうに頭を抱える日々を送っているさなか、亜美の両親の訃報が舞い込んだ。

亜美の父親である伸哉と雅彦は、遠い血縁関係にあたる。
かつてはその妻、奈美も含めてそれなりに交流があったのだが、「とある出来事」によって現在は疎遠になってしまっていた。

そしてそのまま、伸哉と奈美はあの世へと旅立ってしまったのである。
15歳の亜美という、たったひとりの娘を遺して──。

ともかくあの葬儀の日以来、雅彦は自身の歪んだ欲望を満たすために、亜美を手に入れる計画を画策する。

しかし、雅彦の目的はそれだけではなかった。

亜美を引き取ることが決まると、雅彦はさっそく「私立光明学園」へ出向き、亜美を学園へと転校させるため理事長に掛け合った。

その理事長こそ、過去に雅彦を窮地から救ってくれた男、新堂義之──。

雅彦はその際、胸に秘めた「とある計画」を新堂に打ち明けたのだった。


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