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セイドレイ【完結】
第9章 盟友

♢♢♢
雅彦と新堂によって秘密裏に進められる計画。
当然、なにも知らされていない亜美は、今眺めているこの地下室がまさかその計画の "舞台" になろうとは──思いもしていなかった。
そのとき──。
「…高崎くん。夏休みは充実しているかい?」
亜美の背後から、そうたずねてくる男の声がする。
どこか聴き覚えのある声。
おそるおそる振り返った亜美は、そこに立っていた男の姿に驚愕する。
「…あっ…あなたはっ…?!どうしてここにっ…?」
「やぁ。直接話すのは初めてだね?」
男はそう言いながら亜美に歩み寄ると、サッと右手を差し出す。
「"新堂" です。よろしく」
(一体っ…どういうことっ…?)
なぜ、学園の理事長である新堂がここに居るのか、亜美には事態がまったく飲み込めない。
「ほら、ちゃんと挨拶しないか」
うろたえる亜美を雅彦がそう急かした。
亜美はわけも分からぬまま、新堂に右手を差し出す──。
「た、高崎…亜美です…」
「堅苦しいことはいいよ。とりあえず立ち話も何だし、座ろうか」
3人は地下室に置かれている椅子に腰掛け、小さなテーブルを囲んだ。
「…まぁ話には聞いてると思うが、君のおじさん…雅彦と私は中学からの同級生でね…失礼」
新堂が煙草に火をつけ、話を続ける。
「フッ…──いろいろあって君もこの家に来たようだが。ご両親のことは本当に残念だったね。で…ここでの暮らしはどうだい?」
「……」
「はは、つまらん質問だったな。悪かったよ」
このとき、亜美は確信する。
目の前の男は、この屋敷で自分がどんな扱いを受けているかを知っている、と──。
たしかに、雅彦と新堂がつながっているかもしれないことは予測していた。
だから学校にも逃げ場がなかった。
でもまさか、万が一にも──自分がこの屋敷で男たちに何をされているかまで──その事実が第三者に漏れることなど、想像もしていなかったのだ。
亜美は、止まっていた時間が急速に回り出すのを感じていた。
「まあ前置きはほどほどにして…今日は君に……亜美に、お願いがあって来たんだ」
(おねがい……──?)

