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セイドレイ【完結】
第9章 盟友

「なぁに、そんなに難しいことじゃない。むしろ毎日やってることだ。亜美は覚えが早くて、いろんなことができるらしいなぁ」
(毎日…やってること…──)
「つまり、亜美の得意なことを活かして、おじさんたち、ちょっとお金儲けしようと思ってるんだ」
「え……?」
亜美は、新堂の言っていることが理解できるようで、理解が追いつかない。
いや、理解することを必死で拒もうとしていたのかもしれない。
「悪いねぇ。女子高生にこんなことお願いして。あ、ちなみにうちの学園はアルバイト禁止だけど、特別に許可するから安心したまえ。クククッ…」
悪い冗談のつもりだろうか。
亜美はめまいがしてくるようだった。
「まぁね…雅彦もいろいろ大変なんだよ。病院経営ってのは、お金がたくさんかかるんだ。そのうえ、亜美のことも育てなきゃいけない。だからちょっとお金に困ってるみたいでね…」
(それはっ…──)
詭弁だ、と言いたかったが、言えるはずもない。
「…要するに、ちょっと亜美にも協力してほしい、ってことなんだよ。私が雅彦に金を貸してもいいんだが、どのみち返さなきゃいけないだろう?そこでね、優秀な亜美なら私らなんかより、たくさんのお金を生むことができるんじゃないかって話になってね」
亜美はたまらず雅彦を睨むが、目を合わそうとしない。
「簡単に説明すると、うーんそうだなぁ…いつごろかはまだ分からないけど、もうじき。もう少ししたら、私のお友だちをこの部屋に連れてくるから、亜美はその人たちに、"してくれるだけ" でいいんだ。いつも雅彦や…健一や慎二としてるようなことを…ね」
(してくれる… "だけ" ってっ……!)
「あ、心配はご無用だよ。私のお友だちはみな、肩書きだけはちゃんとした奴らばかりだからねぇ。雅彦と同じ医者や、私と同じ教育者。そのほかには、政治家の先生とか官僚とか…社長さんも居るな。ちょっとした有名人も居る」
「……」
「あ、私のお友だちだからといって、みんな年寄りばっかりじゃないから安心してくれたまえ。健一くらいの年齢の奴もいることにはいる。亜美もおじさんばっかりじゃ詰まらないだろうしなぁ。ククッ…耳が痛いな、雅彦」
ここでようやく、雅彦が口を開いた。
「フンッ……だな。歳はとりたくないもんだ…──」

