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セイドレイ【完結】
第9章 盟友

雅彦と新堂の企みをかいつまむと、こうであった。

この地下室でこれから行われようとしていること──。
それを一言で言い表すならば、

「会員制の売春ビジネス」

ということになるだろう。

では、それは一体どんな仕組みなのか。

この地下室に訪れることができるのは、「会員リスト」に名前を連ねた者のみが対象となる。
高額な年会費を支払うことで「会員」になることができ、この地下室で亜美から "性的なサービス" を受ける権利を有する、というものだ。

「会員」の選定は、主に新堂の人脈によって選出される。
現時点では政治家や官僚、企業経営者など、社会的地位の高い者のみをそのターゲットとしていた。

そのほか「会員規約」として細かく定められているが、もっとも重要な事項は秘密厳守の徹底である。

そのために、この地下室での様子はすべて監視カメラで録画されるうえ、別室でモニタリングできるようにもなっているという徹底ぶり。

次に、肝心のサービスについての内容だが── "性的サービス" という表現では、少々生易しいかもしれない。
規約によれば、亜美のカラダに著しく傷が残るような行為や、生命に関わる行為以外は──特に制約がないのだ。

となると、避妊に関する規約も一切ない。
そしてそれこそが、このビジネス最大の "売り" である。

亜美の月経周期は会員間で共有され、いわゆる「危険日」などを把握することができるようになっている。
さらには、仮に妊娠に至った場合──"産科医によって適切な処置が施される" ──と規約では定められていた。

実際に運用してみないことには分からない部分も多いが、現時点で「会員リスト」には、すでに十数名の名が連ねられているとのこと。
新堂がどんな手を使って会員を集めているのかは、雅彦ですらその詳細を知らなかった。

ちなみにこの件については、健一と慎二も知っている。
彼らは初めから納得したうえで、この計画に加担していた。

健一と慎二の2人に与えられた役割は、このサービスの運用が開始されるまでに、亜美を如何にして「性奴隷」として仕立て上げるか、ということだったらしいのだが──果たして。

兎にも角にも、これが雅彦の抱いていた "もうひとつの目的" だったのである。


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