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セイドレイ【完結】
第53章 落日
夫婦の営みを終え、健一はぐっすり眠ってしまったようだ。
寝顔というものは、大人も子供も大差ないのだと亜美は思う。

初めて会った時から6年の月日が流れ、健一の容姿はその父である雅彦の面影を宿し始めていた。

亜美にとってそれは、喜ばしいことではあるのだがーー。

(でもまだまだね、健一さん。まだあの人には...)


亜美はパジャマを着ると、そっと寝室から出ていく。
そして子供部屋に入ると、息子達の寝顔を拝むのが日課だ。

「...あはは。まただ...これじゃ二段ベッドの意味が無いですよ~」

亜美は小声でそんな風に呟く。
息子達は二段ベッドにも関わらず、2人とも下段で眠っていたのだ。

お互い寄り添うようにして、静かな寝息を立てていた。
今日は入学式で疲れ果てたのだろう。

トメの家で母子3人、川の字になって寝ていた頃が懐かしい。
あれからまだ1年程しか経っていないというのに。
この家に越してからも、ついこの間まではそうしていた。
むしろ、亜美はずっとそうしていたかったくらいだ。
でも、これから1年生になるからママとはもう寝ない、と子供達の方から言い出した。
朝日は張り切っていたが、陽気はまだ不安だったようで、案の定、初日は眠れず泣きながら亜美の寝床にやって来た。

しかし、それも初日だけの話で、今ではこうしてしっかり子供達だけで眠っている。
子供の成長とは目まぐるしいものだ。
亜美は、この子達が双子で本当に良かったと日々感じている。
特に、ひとりっ子の亜美は尚更そう思うのだ。

(きっと...この子達は、1人では乗り越えらないことも、2人でなら大丈夫...)

将来、この子達に『クソババア』と言われる日を、亜美は心待ちにしていた。
そんなことでもなければ、子離れできる自信が無いからだ。

(でも...彼女を連れて来たら...ママちょっとだけ嫉妬しちゃうかも)

子供達の寝顔を見届けた亜美は別の部屋に移動し、その扉をノックする。

「...慎二さん?起きてます...?」

そう尋ねると、部屋の中から返事が聞こえて来る。

『起きてるよ...』

亜美はそれを確認すると、慎二の部屋へと入って行く。

自ら慎二の部屋に出向くなど、あの家にいた頃には考えられない。

しかし、これもまた今の亜美の日常。
あの物語の続き、なのだ。
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