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セイドレイ【完結】
第53章 落日

健一は慌てて玄関へと向かう。
「...ママ!」
「...あっ?健一さんっ.....す、すいません、遅くなっちゃって...もう寝てるかと思ってました...」
ちょうど扉を開けて家に入ろうとしていた亜美は、どこかぐったりとした様子に見えた。
「い、いや...あんまり遅いんで心配したんだよ...?と、とりあえず無事で良かったけど.....ん?」
健一はその時、亜美の背後に居る男の影に気がつく。
「...はじめまして、市川さんの同僚の木下って言います。今日は遅くまで奥様を連れ回してすいませんでした。社長から、ちゃんとお宅まで送り届けるように言われていまして...あ、あなたが市川さんのご主人ですよね...?」
一見、礼儀正しそうに挨拶をする木下だが、健一は言いようの無い違和感を覚えた。
「そ、そうですけど...。わざわざすいません。ただあまりにも遅かったので、何かあったんじゃないかと心配で...」
「...それはそれは。申し訳無いことをしてしまって。社長の代わりに僕からお詫び申し上げます。役員達も皆期待の新人である市川さんに興味津々だったものですから...」
「そう...だったんですね。あの...お言葉ですが、一応、うちはまだ子供も小さいので...今後はあまり遅くならないようにして頂けると助かるのですが。妻も頼まれると断れない性格なものですから」
「...へぇ。そうなんですか。市川さん、結構『愉しんで』おられたように見えたんで。申し訳ないです。...でも、ご主人の気持ち分からなくもないなぁ。だってこんな綺麗な奥さんですもん。色々心配にもなっちゃいますよねぇ。羨ましいなぁ...」
そんな馴れ馴れしい木下の態度を健一は不審に思うも、すかさず亜美が間に入る。
「き、木下さん...今日はありがとうございました。また、来週からもよろしくお願いします...!お疲れ様でしたっ...」
「あー?はい。そうっすね。来週からも...へへっ。よろしくお願いしまーす。じゃ、僕は失礼しますんで。お疲れした~」
そう言って木下は、門の前に停車させていたタクシーに乗り込み帰って行った。
「...ママ!めっちゃ心配したんだよ...?それに親父のことで話...」
「ご、ごめんなさい...ちょ、ちょっと私...先にシャワー浴びてきます...!」
「マ...ママ!?」
「...ママ!」
「...あっ?健一さんっ.....す、すいません、遅くなっちゃって...もう寝てるかと思ってました...」
ちょうど扉を開けて家に入ろうとしていた亜美は、どこかぐったりとした様子に見えた。
「い、いや...あんまり遅いんで心配したんだよ...?と、とりあえず無事で良かったけど.....ん?」
健一はその時、亜美の背後に居る男の影に気がつく。
「...はじめまして、市川さんの同僚の木下って言います。今日は遅くまで奥様を連れ回してすいませんでした。社長から、ちゃんとお宅まで送り届けるように言われていまして...あ、あなたが市川さんのご主人ですよね...?」
一見、礼儀正しそうに挨拶をする木下だが、健一は言いようの無い違和感を覚えた。
「そ、そうですけど...。わざわざすいません。ただあまりにも遅かったので、何かあったんじゃないかと心配で...」
「...それはそれは。申し訳無いことをしてしまって。社長の代わりに僕からお詫び申し上げます。役員達も皆期待の新人である市川さんに興味津々だったものですから...」
「そう...だったんですね。あの...お言葉ですが、一応、うちはまだ子供も小さいので...今後はあまり遅くならないようにして頂けると助かるのですが。妻も頼まれると断れない性格なものですから」
「...へぇ。そうなんですか。市川さん、結構『愉しんで』おられたように見えたんで。申し訳ないです。...でも、ご主人の気持ち分からなくもないなぁ。だってこんな綺麗な奥さんですもん。色々心配にもなっちゃいますよねぇ。羨ましいなぁ...」
そんな馴れ馴れしい木下の態度を健一は不審に思うも、すかさず亜美が間に入る。
「き、木下さん...今日はありがとうございました。また、来週からもよろしくお願いします...!お疲れ様でしたっ...」
「あー?はい。そうっすね。来週からも...へへっ。よろしくお願いしまーす。じゃ、僕は失礼しますんで。お疲れした~」
そう言って木下は、門の前に停車させていたタクシーに乗り込み帰って行った。
「...ママ!めっちゃ心配したんだよ...?それに親父のことで話...」
「ご、ごめんなさい...ちょ、ちょっと私...先にシャワー浴びてきます...!」
「マ...ママ!?」

