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セイドレイ【完結】
第53章 落日
「...じゃ、行ってくるから。どこにも寄らずに、真っ直ぐ親父をここへ連れて来る。とりあえず、向こうを出る時に連絡はするよ」

翌朝。
車の運転席から、ウィンドウ越しに健一が亜美にそう言う。

「...よろしくお願いします。あの...でも、あくまでお父様の意志を尊重...」

「大丈夫だって!断る道理なんかねぇよ。だから心配すんな。亜美はしっかりここで、親父が帰って来るのを待っててくれればいいからさ...な!慎二」

「そ、そうだね...」

助手席に乗る慎二もそう呟いた。

亜美は不安な表情を浮かべたまま、2人の乗る車が小さくなるまで見送る。

初夏の陽気が漂う、清々しい五月晴れの朝だった、

「さて...と。私も家のことやらなきゃ...まずは、と」

亜美は朝日と陽気を起こし朝食を食べさせながら、次々と家事をこなしていく。

「ママー!ねぇママー!」

「ん~?朝日、どうしたの?」

「今日、パパのじーじが来るの?」

「...うん。そだよ...」

息子達にも、雅彦が今日からこの家へ来ることは告げてある。

「パパのじーじ、どんな人っ?」

陽気が屈託のない声でそう尋ねて来る。

「うーん...どんな人かぁ...。あ、パパに似てるかな。パパみたいにおっきくて...」

「ふーん。じゃーあー、『おっきいじーじ』にする?」

「え...?」

「だって、じーじが2人になっちゃうもん。ママのじーじはじーじで、パパのじーじはおっきいじーじね!」

朝日が何やら得意気にそう言うと、陽気はケタケタ笑いならがそれに続く。

「おっきいじーじ!変なのー。ねー、おっきいじーじ遊んでくれるかな?」

「あ...うん。でもね、お父さ.....じゃなくて、おっきいじーじは今日は疲れてると思うから、あんま騒いじゃダメよ?」

『はーい...』

双子ならではか。
亜美にそう言われ、同じ顔で少々がっかりする2人。

(今更だけど...この子達とお父様が遊んでるとこなんて...想像できないよ...)

息子達との会話で、雅彦との再会がより現実味を帯びてくる。

亜美はさっきからやはり落ち着かない様子で何度もスマホを覗いては、健一からの連絡を待っていた。
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