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セイドレイ【完結】
第53章 落日
それから約1時間後ーー。

亜美は玄関の前で、およそ6年ぶりに雅彦と対面する。


「あっ...あぁ.....」


その姿を目にした途端、亜美は身動きが取れなくなりその場に立ち尽くす。
喉が締まり、まともに声を掛けることすらままならない。

雅彦は少しばかり痩せたように見えたが、それでも大柄な体格は健在だった。
白髪はより白みを増し、6年の歳月を感じさせるものの、全体的な雰囲気はあの頃とさほど変わらない。

亜美の知る、雅彦そのものだった。


「...ただいま、ママ。取り急ぎ...車の中で簡単に事情は説明しといたんだけど...」

健一が雅彦の顔色を伺いながら、亜美にそう言う。
慎二はその横でうつむいたまま、何も言わない。

そして先程から雅彦は一切、亜美と目を合わそうとしなかった。

「と...りあえずさ、玄関先じゃ何だし家に上がって話そうぜ?積もる話もあるだろうしさ...あ、そうそう!ちゃんと親父の部屋も亜美が用意してくれてて...」

健一がそう言ったのを遮るように、雅彦が初めて口を開く。

「...ふんっ。さっきも車の中で言ったが、ワシはお前らの世話になるつもりなど毛頭無い。そもそも頼んだ訳でも無いのにどうして迎えに来た?」

「親父っ...!?」

「...それに話すことももう無い。さっき伝えた通りだ。住む場所が見つかるまでは間借りさせてもらうが、すぐに出て行く。飯の世話も何もしてくれなくていい。以上だ」

「...お、おい!親父ちょっと待てよ!!そんな言い方するこたねぇだろっ!??少しは亜美の気持ちも考えろよっ!!亜美がどんな想いで今日までっ...」

亜美の目の前であまりに素っ気ない言葉を吐き捨てる雅彦に、健一が食って掛かろうとするもーー。

「...いいの、健一さん」

「...え?い、いやっ...良くないって...」

「いいの。...分かりました。お父様の好きに...させてあげてください...」

そう言って下を向いたままの亜美の真横を、雅彦は脇目も触れずに素通りして家へと入って行く。


「...ったく、親父の奴。頑固にも程があるぜ...ママ?気にしなくていいからな?ずっと塀の中に居たから、きっと親父も気が動転してるんだよ。大丈夫。少し休めば落ち着くと思うからさ。本当に...ごめんな...?」

「...いえ、大丈夫です...」
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