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セイドレイ【完結】
第53章 落日

『お、おい...待てよ!?行き先って...他に頼れるとこなんて無いだろ?俺達、家族なんだよな...?そこを差し置いて他に何があるって言うんだよ.....なぁ親父、考え直してくれよ...せっかく...せっかく亜美がここまでしてくれたって言うのに...』
先程までの怒鳴り声から一変、健一は声を震わせていた。
『...もういい。ならば今から出て行く。そもそも、たとえ数日でもここに居座ってしまったワシがいかんのだ。あのまま消えてしまうべきだった。...世話になったな。ワシのことは忘れてくれ。では、もう二度と会うことは無いだろうが、達者でな』
『親父っ...』
そして、ふすまが開けられた。
「...おっ...父様っ.....」
亜美と雅彦が鉢合わせる。
ほんの一瞬、目が合った。
しかしすぐさま、雅彦は目を逸らした。
「...すまん。そこをどいてくれ」
「...あ、あのっ...私...」
「聞こえないのか?...そこをどきなさい」
「い、嫌っ...です」
「.......どけと言ってるのが分からんか」
「...どきません」
そんな亜美の行動に、雅彦は大きく溜め息をつく。
張り詰めた2人の空気に、健一と慎二はうろたえていた。
「...今夜、一晩だけ」
「...何がだ?」
「一晩だけでいいから、私と一緒に居てください」
「...何をするつもりだ?」
「.........つづき」
「...ん?」
「まだ終わって無いんです。私の中では何も」
「...........」
「だから一晩だけ。そしたら後は、お父様の行きたいところへ行ってください」
「.....本当に一晩だけでいいんだな?」
「.....はい」
「...分かった。好きにしろ」
「...ありがとう...ございます」
こうして、6年ぶりに再会を果たした2人は、4日目にしてついに向き合うこととなった。
月明かりが綺麗な、とても静かな夜だったーー。
先程までの怒鳴り声から一変、健一は声を震わせていた。
『...もういい。ならば今から出て行く。そもそも、たとえ数日でもここに居座ってしまったワシがいかんのだ。あのまま消えてしまうべきだった。...世話になったな。ワシのことは忘れてくれ。では、もう二度と会うことは無いだろうが、達者でな』
『親父っ...』
そして、ふすまが開けられた。
「...おっ...父様っ.....」
亜美と雅彦が鉢合わせる。
ほんの一瞬、目が合った。
しかしすぐさま、雅彦は目を逸らした。
「...すまん。そこをどいてくれ」
「...あ、あのっ...私...」
「聞こえないのか?...そこをどきなさい」
「い、嫌っ...です」
「.......どけと言ってるのが分からんか」
「...どきません」
そんな亜美の行動に、雅彦は大きく溜め息をつく。
張り詰めた2人の空気に、健一と慎二はうろたえていた。
「...今夜、一晩だけ」
「...何がだ?」
「一晩だけでいいから、私と一緒に居てください」
「...何をするつもりだ?」
「.........つづき」
「...ん?」
「まだ終わって無いんです。私の中では何も」
「...........」
「だから一晩だけ。そしたら後は、お父様の行きたいところへ行ってください」
「.....本当に一晩だけでいいんだな?」
「.....はい」
「...分かった。好きにしろ」
「...ありがとう...ございます」
こうして、6年ぶりに再会を果たした2人は、4日目にしてついに向き合うこととなった。
月明かりが綺麗な、とても静かな夜だったーー。

