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セイドレイ【完結】
第53章 落日
亜美と雅彦が和室に入ってからしばらく経った。

落ち着かない健一と慎二はリビングにて、何やら神妙な面持ちで話し込んでいる。

「...2人、大丈夫かな」

「大丈夫...だろ。あの頑固な親父ですら、あそこで無理に出て行かなかったんだし。これで丸く収まってくれるといいけど...」

「...でも、親父の気持ちも何となく分かるんだよね」

慎二がそうポツりと呟く。

「親父の気持ち...?あんなの、ただ意地張ってるだけだろ?」

「いや...兄貴には分かんないかもしんないけどさ。多分親父は...亜美が怖いんじゃないかな」

「...はぁ?普通逆だろ?」

「そうかな...?俺は怖いよ。その...変な意味じゃなくてさ?何ていうか...きっと親父は、誰より後悔してるんだと思う。亜美に...してしまったことを」

「...そりゃまぁ...言い出しっぺみたいなもんだしな。でも、だからこそ亜美の言うこと聞いとくべきじゃねぇか?償うつっても、他にできることなんてねぇんだし...」

「まぁ...。でもだからって、俺らが幸せになって良いか、って言うと...それは違くないか?」

「ん......?で、でも...」

「別に兄貴を責めてる訳じゃないけど、きっと感じてる贖罪の重みが親父とは違うんだよ。...つまりそれは裏を返せば...」

「...返せば?」

「...親父にとって、また亜美のそばに居られることは、きっと何よりの幸せなんだと思う」

「そ、それなら、尚更...」

「そこが兄貴との違い。だからこそ、親父はそれを拒もうとしてるんだ。亜美を受け入れたら、償い以前に自分が救われてしまう。自分が幸せになっちゃうだろ?それじゃあダメなんだ。いくら亜美が望んでるからって『はいそうですか』とはいかないんだよ。逆を言えば、親父は亜美をそんだけ愛してるってこと」

「...お、俺だって...愛してる」

「...うん。だからあくまで親父はそう、ってだけ。ま、分かんないけどさ。とにかく、俺らが介入できる話じゃないんだよ。2人の間には、俺らが思ってる以上に複雑な感情が絡み合ってる。兄貴みたいに単純じゃないってこと」

「お、おい...慎二お前、いつの間にそんな分かったような口を...キャラ変わり過ぎじゃね?」

「...はぁ。やっぱ兄貴は浮かれてたってことか。ま、別にいいけど...」
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