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セイドレイ【完結】
第53章 落日
「おかえりなさい」






亜美は、雅彦の目を真っ直ぐに見つめて、そう言った。

この4日間、ずっと亜美と目を合わさなかった雅彦。

だが、今この瞬間。
亜美のその瞳から目を逸らすことができない。
大きくて、深い。
そんな瞳だった。
このまま見つめていると、吸い込まれてしまいそうな程に。


2人が和室に籠ってから、およそ1時間が経過していた。

お互いに何を言うわけでも無く、まずは部屋の灯りを消した。
そして、ごく自然なことのように、カラダを重ね合おうとした。

しかし、それは未遂に終わる。


雅彦は、勃たなかった。


年齢を考えれば、もう致し方ないのかもしれない。
元々勃起不全を抱えていた雅彦。
亜美に出会ったことで一時驚異的な回復を見せたそれは、今思えば風前の灯だったのかもしれない。
6年という歳月を経て、雅彦の股間は完全に沈黙してしまった。

一向に反応を示さない雅彦の肉棒に、亜美も何かを察したようだった。

2人は行為を中断し、1枚の布団の中で身を寄せ合う。

そして亜美は、雅彦に『愛している』と、何度も何度も言葉にして伝えた。

雅彦がいくらはぐらかそうとも、亜美はそれを許さなかった。


そしてたった今、亜美は雅彦に言った。


『おかえりなさい』


遠き日の夜の記憶が甦る。

雅彦は同じ言葉を、かつて15歳の亜美からも聞いたことがある。

お互いの関係性が一変するきっかけとなったその7文字の言葉は、あれから6年以上が経った今でも、当時の記憶を鮮明に呼び起こした。

陵辱することでしか亜美を支配できなかった雅彦。
そんな雅彦の弱さを全て見透かすかのように、15歳の亜美が放ったその一言。

それと同じ言葉を、21歳になった亜美がもう一度、雅彦に囁いたのだ。

2人の止まっていた時間が、再び動き出した瞬間だった。




「...亜美、ワシはお前を.........愛している」
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